【ファンキー通信】献血ルームでマジック教室!?

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 漫画を読みながらドーナツにお茶までいただける。マッサージに手相占い、そのうえプロのマジシャンに手品を教えてもらって、さらにはヴァイオリンとフルートの生演奏会で癒される・・・!

 こんなにいたれりつくせりなのに、いずれもすべて無料。そんな素晴らし〜い場所があるって知ってました? そこはなんと献血ルームなのだ。輸血のための採血をする場所で、一体なぜそのようなイベントが行われているのだろうか?

 発端は深刻な血液の不足にある。全国の献血者数は14年度で587万人、15年度で561万人、16年度は540万人と年々減少傾向にあり、大きな社会問題となっているのだ。中でも10代〜20代の献血者数の減少は深刻で、若年層の献血離れが際立っているという。また今年は変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策の一環として、80年〜96年にイギリスに滞在した人の献血の中止を厚生労働省が決定したこともあり、輸血用血液の不足はいまや慢性的なものとなってしまっているのが現状だ。

 若いうちから献血をもっと身近なものとして捉えてもらいたい、保存のきかない血液を継続して提供してもらいたい、そんな想いからこのイベントは生まれたという。

 埼玉赤十字血液センター企画担当者は、このイベントに込めた想いを熱く語ってくれた。「一回の献血にかかる時間は待ち時間を含めて1時間ほど。その時間を費やしてくれる献血者に楽しんでもらいたかったのです」

 なるほど、献血者が献血ルームのイベントを楽しむことにより、定期的に献血に行く動機づけとなるような工夫を凝らしたというわけだ。日本赤十字社が受身の姿勢からの脱却を果たした成果として、リピーターやイベントの日程に合わせて友達や家族で連れ立って来る人が増えた。そして大宮駅献血ルームでは、献血者の数は15年度から16年度の一年で3800人増加したという。

 新装開店(?)を経た献血ルームのイベント一番人気は手相占いだとか。寄り道ついで、休憩ついでに立ち寄って、未来を占ってもらうのもいいかもしれない。それがひいては人助けにつながるなんて、ちょっと素敵じゃありません?(文/verb)