野球界にもついに「ワールドカップ」が誕生する。

「ワールド・ベースボール・クラシック」の開催がアメリカ・大リーグ機構（MLB）から発表されたのだ。大会では４カ国ずつ４グループに別れ１次リーグを行い、来年３月上旬に日本で行われるアジアの１次リーグで日本は各国と対戦する予定。２次リーグ、準決勝、決勝は米国で行われるという。

　日本球界でも悲願とされたワールドカップだけに、球界でも諸手を挙げて賛同したいところだが、どうやらそうもいかないようで大きな注目を集めている。というのも、MLBから発表された大会概要には、日本野球機構（NPB）や各球団にとって納得できない点が多々あるためだ。

　「問題点として、開催時期や主催が、MLBと大リーグ選手会である点などが挙げられています」と某スポーツ紙記者は語る。MLBが発表した大会概要によれば大会の開催時期は３月上旬。「日本プロ野球の開幕直前という日程は、野手はともかくとして、投手にとっては調整が難しい」（同）ということで各球団も頭を悩ませている。

　大会の運営自体にも日本野球機構（NPB）としては不服のようだ。「去年の時点でMLBから大会参加への打診があった際に、NPBではMLB主催ではなく、オリンピック同様に参加国による実行委員会を組織すべきと打診していたんです。今回の大会概要はこのような日本からの打診をまったく無視して一方的に通達されているんですよ。米国の独占的な開催ということで、NPBとしても素直に賛同しかねる点が多いようです」（同）と語る。

　このことに関して、巨人軍球団代表の清武氏も「前から言っている通り問題点が多いので、それを向こう（米国側）に投げなければいけない。単一的な話ではない。国際化が必要なのはわかっている。だから話が面倒になる」と憤りをあらわにしている。

　大方の予想としては「とにかく参加することに意義がある。今回はMLBの要求に従って参加し、次回開催からは強く要望を出していくという方向でまとまりそう」（同）とのことで、出場選手の選考など今後NPBと各球団とで話し合いが行われる模様だ。

　ともあれ、日本のみならず、世界のベースボールファンが待ち望んだワールドカップ。ファンが喜ぶ、真の「ワールドカップ」が開催されることを期待したい。（文／verb）