【会見全文】手倉森誠監督「ラストチャンスでみんな申し分なく期待に応えてくれた」《キリンチャレンジカップ2016》

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▽29日にキリンチャレンジカップ2016のU-23日本代表vsU-23南アフリカ代表が、松本平広域公園総合球技場で行われ、U-23日本代表が4-1で勝利した。この試合後、U-23日本代表を率いる手倉森誠監督が公式会見の場で試合を振り返っている。

▽U-23日本代表にとって、8月にブラジルで開幕するリオデジャイネイロ・オリンピック前最後の国内での強化試合となったこの南アフリカ戦。前半半ばにPKから先制点を許した日本だったが、37分にFW中島翔哉のゴールで追いつくと、前半終了間際にMF矢島慎也と再び中島のゴールで逆転。迎えた後半も立ち上がりにFW浅野拓磨が4点目を奪い、4-1の大勝を収めた。

▽手倉森監督は試合後の会見で「ゲームの流れを読みながらゲームをできるようになった」とチームの成長に満足感を示した。

手倉森誠監督(U-23日本代表)

「この世代だけでの強化試合で成長とこれからの可能性を示そうという話を、(試合前に選手たちへ)しました。ゲームの入り、身体能力の高い南アフリカに少し冷や汗をかかされたシーンが続きましたが、相手のストロングをしっかり受け止めて、ウイークを探りながらゲームを進めていったコントロール力が良かったなと。前半のうちに逆転できたところというのも、失点で相手が怯んだところで畳み掛けるあたりは、ゲームの流れを読みながらゲームをできるようになった。そこに成長を感じています」

「ゲームを通して復帰組を主体にメンバーを出し入れしました。メンバー選考へのラストチャンスだという意味合い。みんな申し分なく期待に応えてくれました。ゲームは4-1という完勝で晴れ晴れしい結果だったのですけれど、何か自分の気持ちだけが晴れない(笑)、そんな状況です。国内最後の強化試合でこれだけ多くのファンが来てくれる中で、その期待に応えられて良かったし、期待と注目が高まることで、またこの世代は成長できるんだというのを感じられました。サッカーをやる方も観る方も日本の国を盛り上げようというような共闘ができればいいなと。良い雰囲気を作ってくれたサポーターに感謝したいと思います」

――負傷明けで先発フル出場で2得点の中島選手の評価は?

「普段、本当に試合へ出ていない選手なんだろうかというね(笑)。様子を見たくて先発させました。切れ味もあるし、好調だった。日頃は90分やれていないので、(負傷していた)ヒザの痛みも癒えた中でどのくらい持つのだろうかというトライもできる状況だったので、90分使いました。それは(同じく負傷明けの)室屋も一緒です。あとは彼らが連戦に耐えられるくらいのコンディションまで向上させて維持できるかというところについては、こっちが勝手に計算してあげないといけないだろうなと思っています」

――中島選手と10番を争う矢島選手も結果を出したが、足の引っ張り合いではない相乗効果など、まとまりという意味でチームの特長が出た試合だった印象だが?

「この世代で育まれていたもの、まず強みとするのはチームとしてのまとまり。それを最後までやり続けようという話はしていました。本当に正しい競争がこの世代にはあって、本当にポジティブな競争。まあ、(復帰した中島に)10番を与えなかったのは良かったなと思います。われながら良いマネジメントだったなと(笑)。本当にどの大会でも彼ら二人は絡んできてやってくれているので、ゲームを決定付ける仕事に関しては矢島もすごく伸びたと思っていますし、(中島)翔哉は相変わらずここ(代表)に来ると結果を出す奴だなと。良い競争の中から自分は選ぶことになるという話を、いまチーム全体にちょうどしてきました。だからこそハイレベルなグループができあがるだろうと」

「“託す側”と“託される側”に分かれるだけで、決して落とされたり外されたりという話ではないということは言っておきました。特に今日の21人は本当に良い存在感を発揮してくれたと思います。“託す側”になった選手はここからA代表を目指すだけなんだという言葉をかけてきました。本当に将来の日本サッカーの可能性、希望というのを、皆さんもこの世代から見いだしてくれればと思います」

――トゥーロンでの戦いを受けて、メンバーも異なるが前半の25分くらいまでのプレーについてはどう評価しているのか?

「いや、あの25分間の入り方をしていたら本大会では厳しいだろうなと思いながら観ていました。だけれど、あれがそう長く続かないというのはサッカーでありがちなこと。あそこをしっかり“ああいうもんだ”という割り切りでしのいで先制点を取れるようになれば、いや取れるようにならないといけないと思います。本大会では」

「だけれど、(ボールを)握られている中で握り返すのではなくて、決定機を作り返すという、その作業が今日は良かったと思います。ただ、その決定機を作るまでに最初の方は単発だった。1回作ってから2回、3回といけたのは良かったのだけれど、ゲームの入り方に関しては本大会に対して修正していかなければいけないだろうなと思います」

――始めに「気持ちが晴れない」と言ったのは、選手を落とさなければいけないという部分か?

「ここで本当に18人を選ばなければいけないという作業は、今日の試合が終わったところで、より厳しい決断をしなければいけない状況になった。この世代、自分は余裕を振りまきながら肩に力を入れないように、ニコニコしてやって来ましたけれど、ここからちょっと厳しい顔にならないといけない。そんなことを考えています」

――五輪初戦のナイジェリア戦へ向けた強化ポイントは?

「ここからの強化としてはスピードとパワーとコンビネーションを、もっともっと高めないといけない。オーバーエイジで入ってくる選手たちとのすり合わせ、やるサッカーに対してのメリハリに関しては、ブラジルへ行ってから高めていかないといけないだろうなと。環境への適応能力というのも、少し向こうに行ってからイメージさせないといけないだろうなと思っています。よりメリハリを付けないといけないサッカーを求められているし、今日の入り方では泡を食ってしまうので。最初にこちらが仕掛けられる準備をしながら、それでコントロールしていけるような準備というのが必要になってくると思います」

――明後日のメンバー発表でサプライズはあるか?

「(笑)。いや、僕がここに来て悩んでいる状況で記者会見するとは思っていなかったので、それがサプライズです(笑)」