大森・ダイシン百貨店の跡地を歩く...さらば、古き良き「地元の台所」
「いつか行ってみたい。でも、いつでも行けるからなぁ」と思って、なかなか足をのばせないスポットがある。記者(20代、東京出身)にとって、東京・大森の「ダイシン百貨店」はそのひとつだった。百貨店と名づけられているが、高級ブランドばかりの敷居が高い店ではない。地元に愛される総合スーパーだ。
建物横の看板(以下、2016年5月10日撮影)
そんなダイシン百貨店が、2016年5月8日で閉店してしまった。ついぞ閉店前に訪問することはできなかったが、少しでも雰囲気をつかみたいと思い、跡地を見てくることにした。
リニューアル後は「MEGAドンキ」に
地元を支え続けたダイシン百貨店
ダイシン百貨店は1964年開店。「地元密着型」の百貨店として、高度経済成長期には多店舗を経営。一時は年商350億円超を記録したが、業績悪化で2004年には1店舗のみになった。そして15年にはドン・キホーテと業務提携し、グループ企業として再建が進められている。閉店後はリニューアルされ、16年6月下旬に「MEGAドン・キホーテ大森山王店」として再オープンする予定だ。
「Old&New 住んでよかった街づくり」
記者が行きたかった理由。それは、地元に愛されていることだ。「500メートル圏内、シェア100%」の戦略を掲げ、売れ筋の商品だけでなく、固定ファンのついている商品も陳列。シャトルバスの運行や、地元商店街にも開放したポイントカード(アップルカード)といった施策で、街のシンボルとして支持されていたのだ。
ポイントカードを切り替える人々
大森駅西口から徒歩10分。閉店から2日経ち、跡地は閑散としているかと思ったが、入口前には人が群がっていた。従業員に加えて、お客さんもたくさん。どうやらアップルカードから、ドンキの電子マネー「majica(マジカ)」への切り替え受付を行っているようだ。
隣接するライバル店
隣のビルには、イオン系の「まいばすけっと大森郵便局前店」がある。これら新規出店のスーパーマーケットが、ダイシンの脅威になっていたとされる。こちらの営業時間は7時から24時。これに対抗したのか、ダイシンも昨秋から、閉店時間を27時にのばしていた(以前は21時)。
駐輪場も27時30分まで
時代の流れとはいえ、愛着を持っていた近隣住民は、ショックを受けているようだ。かつて住んでいた人、いまも住んでいる人、そして幼少期を過ごした人――。それぞれが思い出をツイートしている。
ダイシン百貨店は大森人の生活そのものでした。長い間ありがとう、そしてお疲れ様でした。 pic.twitter.com/wS8PFiGH0W
- nyaooshi (@nyaooshi) 2016年5月9日
大森のダイシン百貨店の閉店に大ショック。魚や果物の品揃えが素晴らしかっただけに、我が家の食卓に多大な影響が及ぶこと必至。
- bonsai_x (@bonsai_x) 2016年5月9日
大森ダイシン百貨店閉店。小さい頃からの思い出がいっぱいある。父との思い出の店がまた無くなっていくのが寂しい。
- まめちよ@ (@mamehinata) 2016年5月9日
大森のダイシン百貨店が昨日で閉店してたと聞いてショックを受けてる。ああいったお店が生き残るのは大変な時代だろうけど、さびしいものだ。
- araiguma (@raccoon1241) 2016年5月9日
なお、報道によると、ダイシンで働いていた従業員は、ほぼ「MEGAドンキ」でも引き続いて働くという。
まもなく「MEGAドン・キホーテ」になる