ソースの焦げる匂いに、ジュウジュウという音、目に鮮やかな紅ショウガ……。「焼きそば」は、ラーメンやカレーに引けをとらない国民食! 現在は、北は北海道の「オホーツク北見塩やきそば」から南は沖縄の「ケチャップ焼きそば」まで、様々な焼きそばが日常食として親しまれ、時には町おこしに活用されたりしながら食文化として根付いています。今回はそんな「焼きそば」のプロ(?)を自認する方々に、おすすめの焼きそばや作り方のコツを教えてもらいました。
(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」4月30日放送より)


みんな大好き、全国各地のおいしい「焼きそば」教えます!



◆「BBQのシメは焼きそばで!」
〜BBQ芸人 たけだバーベキューさん


よくアウトドアで焼きそばを作るんですが、毎回ソース焼きそばだと飽きてしまうので、味付けをいろいろ変えています。最近なら「俺流コクまろ焼きそば」。ソースの代わりに甘口の焼肉のタレをドバドバとかけて、最後にバターを入れるんです。バターの風味が香ばしいちょっと甘めの焼きそばは、味の濃いバーベキューのあとにすごく入ってくる味です。

ホームセンターで「焼きそば用アルミプレート」も売っていますが、できれば極力避けてください。便利で手軽なんですが、アルミは蓄熱しないので野菜をのせても最初の一瞬ジュッというだけで、なかなか火が通りません。焼きそばは鉄板を使ってかなりの強火で焼いて、ちょっと焦げ目が付くくらいのほうがおいしく作れます。

せっかくのアウトドアですから、少々こぼれても気にせず、ヘラで豪快にかき混ぜましょう。そのワイルドさがおいしそうな印象を与えるんです。Lサイズのヘラを両手に持って、鉄板の上でガサガサとかき混ぜて、強火でジュウジュウといわせる。上級者になると両手のヘラをぶつけてカチャカチャと鳴らしたり。そんな音がおいしそうに感じさせるんです。

「情熱の真っ赤なイタリアン焼きそば」もおすすめです。オリーブ油でニンニクを炒めて香りを出し、ベーコン、ピーマン、玉ねぎ、ニンジンなどを炒めてから、焼きそばを投入。そしてソースで味を付けるまでは普通ですが、最後にホールのトマト缶をドバッと入れます。ヘラでトマトをざっくり切りながら混ぜると、真っ赤な焼きそばの出来上がり。パルメザンチーズをたっぷりかけてクレソンをのせると、すごく洒落たナポリタンスパゲッティのような焼きそばになります。

女性にはタイ風焼きそば「パッタイ」も人気です。お米で作る麺「フォー」をオイスターソースなんかで炒めて、最後にパクチーをどっさりのせるだけ。ハーブ類はお肉にも使えますし、青のりよりちょっと絵になるのでSNSに写真を載せるのにも良いですね。

◆「全国各地に様々な焼きそばがあります」
〜焼きそばマニア 塩崎省吾さん


東京・浅草の『デンキヤホール』にはソース焼きそばを卵で巻いた「オム巻き」があります。このお店は明治時代に開業して、オム巻きは大正時代からあるので、おそらく日本で現存するもっとも古いソース焼きそばじゃないでしょうか。お店で話を聞いたら「100歳の常連さんが子どもの頃から変わらない味と仰ってる」とのことでした。

愛媛県松山市の『じゅん』というお店は「かめそば」が名物。昔、松山には『かめ』という食堂があって、そこの焼きそばが独特だったので「かめそば」と呼ばれるようになったそうです。細めの麺で歯ごたえがあり、上にたっぷりアジ節がかかっているのが特徴で、ソース味とも醤油味ともいえないうま味の塊みたいな感じはほかではちょっと味わえません。お取り寄せも可能です。

青森県の黒石には「つゆ焼きそば」があります。これはラーメンやそばのつゆに浸して食べる焼きそばです。さらにすぐ近くの津軽尾上駅には平たい麺に豚肉と玉ねぎを使った独特の焼きそばもあります。季節的に弘前城の桜がきれいな時期なので、そのついでに黒石や津軽尾上の焼きそばをめぐってみてはいかがでしょうか。

静岡県は「富士宮やきそば」が有名ですが、僕が生まれ育った掛川市の海よりには遠州横須賀という町があり、そこでは「ソースあとがけ焼きそば」が食べられます。『小石屋』というお店が有名なんですが、塩コショウだけの薄味な焼きそばに自分でソースをかけて食べるスタイルです。最初はソースなしで味わって、後から味を変えて食べるという人もいます。

東京・新宿の思い出横丁にある『若月』は、ちょっと太めの蒸し麺を使ったオーソドックスな焼きそばがおいしい老舗のラーメン屋。ここも後がけ用のソースが添えられますが、実は戦後にソース焼きそばが普及したとき、ソースは後がけが標準のスタイルでした。というのも戦後間もない頃は砂糖が統制品で、ソースにはサッカリンやチクロなどの人工甘味料が使われ、加熱するとえぐみが出てしまったからだそうです。

◆「カップ焼きそばで出身地がわかる!」
〜ライター やきそばかおるさん


僕は山口の出身なんですが、子どもの頃に食べていたカップ焼きそばは「日清焼きそばU.F.O.」でした。関東のほうは「ペヤング」が全国区だと思っていらっしゃるみたいですが、実はほとんど関東でしか売られていません。

そんなふうにカップ焼きそばにはけっこう地域性があるので、子どもの頃に食べていたカップ焼きそばを聞くと、その人がどこの出身かけっこうわかります。たとえば北海道なら「やきそば弁当」。これはカップ焼きそばを作るときのお湯でスープを作れるのが特徴です。東北や新潟あたりは「焼きそばバゴォーン」。これもスープ付きで、昔は全国発売していたので40代以上の方なら東北・新潟以外の方もご存知かもしれません。関東でもごくまれにディスカウントストアやスーパーで売られていることもあります。

西日本になると断然U.F.O.です。だから僕はペヤングを初めて食べたのは20代になって上京してからでした。でも実は僕のような山口の子どももペヤングがあることは知っていたんです。これは「週刊少年ジャンプ」の投稿コーナー「ジャンプ放送局」に登場するデザイナーの榎本さんが、大のペヤング好きとして知られていたから。大人になって初めてスーパーでペヤングを見たときは「これか!」とドキドキしたものです。

味はU.F.O.がややスパイシーで、ペヤングはちょっと甘め。やきそば弁当も甘めですね。2010年に発売された「JANJAN」は麺にソースの味が練り込まれているのが特徴です。だし醤油味ならソースの香りが部屋にこもらないし、さっぱりした味わいなので初心者や女性にもおすすめです。

やきそば弁当には「あんかけ風」もあります。湯切りするときにちょっとお湯を残し、そこに「あんかけの素」を入れてかき混ぜると、とろみがついてあんかけ焼きそばになるんです。さらに同じくやきそば弁当の「エクスプレス」はわずか1分で作れるカップ焼きそば。こんなふうに全国にはいろんなカップ焼きそばがあります。

TOKYO FMの「ピートのふしぎなガレージ」は、《サーフィン》《俳句》《ラジコン》《釣り》《バーベキュー》などなど、さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介している番組。案内役は、街のはずれの洋館に住む宇宙人(!)のエヌ博士。彼のガレージをたまたま訪れた今どきの若者・新一クンと、その飼い猫のピートを時空を超える「便利カー」に乗せて、専門家による最新情報や、歴史に残るシーンを紹介します。

あなたの知的好奇心をくすぐる「ピートのふしぎなガレージ」。5月7日(土)の放送のテーマは《真珠》。お聴き逃しなく!

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<番組概要>
番組名:「ピートのふしぎなガレージ」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週土曜17:00〜17:50(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/garage