江戸っ子は、何よりも出汁(だし)を大事にしてきました。むしろ味付けは出汁がすべてと言っても過言ではないほど。そして、その基本はかつお出汁なんですが、今日はかつおではなく昆布に注目。なぜ江戸っ子は昆布にうといのか、そんなお話です。



日本食の肝である、出汁。

さまざまな出汁のもとがありますが、やはり「かつおと昆布」は基本ですよね。

そしてやはり、「関東はかつお出汁」「関西は昆布出汁」

というイメージがあるのではないでしょうか。

昆布の歴史は古く、遡れば縄文時代とも言われています。

産地は、北海道。

もともとは薬として扱われ、高級で庶民が口にすることはできないものでした。

お金の代わりに使われていたこともあったとか。

そんな昆布が全国に渡ってきたのは、江戸時代。

昆布を運ぶ舟は「千両宝船」と呼ばれ、

当時は「宝」が北国から運ばれてきたと言われました。

このとき使われた航路は、下関から瀬戸内海を通る「西廻り航路」。

そう、昆布はこのとき、大阪へと入っていったのです。

そしてその後、九州、沖縄へ。

この通り道、現在は「昆布ロード」と呼ばれています。

そのくらい、日本の人々にとって昆布の訪れは大きいものだったのです。

昆布が到達した場所では、独自の昆布文化が生まれました。

大阪の昆布のつくだ煮、そして出汁は昆布からとられるのが基本。

昆布ロードが到達していなかった関東では、その存在が知られるのは、ずっとあとに。

「昆布後進地域」になってしまったのですね。

現在も、全国的に昆布の消費量が少ないそうです。

昆布ロードという背景で生まれた、東と西の出汁対決。

もし、舟が東廻りだったら、歴史は変わっていたのかもしれませんね。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、「昆布ロードは、どっち行き?」として、2015年6月10日に放送しました。

【あわせて読みたい】

★新婚生活「私は夫のコレにドン引きました」お金編 http://tfm-plus.gsj.mobi/news/y3jUWDfeA8.html

★【誰かに教えたくなる話】日本人が大好きな「トンカツ」は、和食? それとも洋食? http://tfm-plus.gsj.mobi/news/H3DIIhNXQT.html

★あなたは上司に逆らったことある? ない? http://tfm-plus.gsj.mobi/news/zkLAwZn5GW.html

<番組概要>

番組名:「シンクロのシティ」

放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50

パーソナリティ:堀内貴之、MIO

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/