皆さんは外食で、何が一番好きですか? 特に初めての料理をお店で食べるときは、すごくワクワクした気持ちになりますよね。洋食文化が花開いた時代の明治の人々は、文明開化以後その興奮を休まずに味わっていたかと思うと、ちょっと羨ましくなります。そんな、洋食がきっかけで生まれた日本人の好きな、あの食べ物のお話です。

写真/mai ※写真はイメージです



とーってもお腹が空いたとき、ガッツリ食べたいものは何ですか?
焼肉? ラーメン? カレー?
どれも美味しそうですが、アッツアツでサックサクの、トンカツもいいですよね。

肉を食べるようになったのは明治以降と言われている日本人。
トンカツが登場したのも、もちろん文明開化以降です。
最初は牛肉のほうが栄養価が高く美味しいと思われていたため、日本での豚肉の普及は遅れてしまいました。

そんな豚肉料理で、人々を夢中にさせたのが「トンカツ」。
でも、最初はトンカツという名前ではありません。
イギリスから初めて似た料理が入ってきたときは「カットレット」という名前でした。

カットレットは、牛や羊、豚の骨付き肉……いわゆるチョップを、卵とパン粉を付けてソテーした料理。
この見たこともない料理に明治の人々は驚き、夢中になりました。
特に、豚のカットレットは絶品だ。
こうしてポーク・カットレットは、庶民にも多く広まったのです。
そう、「ポークカツレツ」の語源です。

炒め焼きだったポークカツレツを、「油で揚げてみよう」とチャレンジしたのは、東京・銀座の老舗洋食屋「煉瓦亭」の初代店主。
でも、最初はなかなかカラッと揚がらず、脂っぽくなってしまい苦労しました。

そこで日本人の大好きな天ぷらのように、小麦粉、溶き卵、生パン粉をつけてたくさんの油で揚げてみることに。
完成したのは、ポークカツレツとはひと味違う、れっきとした「和食」の料理でした。
「トンカツ」の登場です。
「煉瓦亭」のトンカツは、添えてあるキャベツの千切りも相性抜群と、大人気になりました。

カットレット、ポークカツレツ、そしてトンカツ。
出世魚のように名前とその姿を変化させ、私たちの生活に根付いたこの食べ物。
日本人として、愛さずにはいられません!

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、「カットレットってなんの食べ物?」として、10月6日に放送しました。

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<番組概要>
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