熊本頑張れ、九州頑張れということで「買って応援、食べて応援」と、東京・銀座にある熊本県のアンテナショップにも多くの人が訪れています。今回は、九州から世界に飛び立ち愛されている、ある食べ物をご紹介いたします。


アメリカでは「サツマ」は、「テレビオレンジ」とも呼ばれているそうです



皆さんは「サツマ」という食べ物といったら、何を思い浮かべますか?
やはり「サツマイモ」ですよね。
でも、欧米では「サツマ」と言ったら「みかん」のことを指すことをご存知でしょうか?

きっかけは、幕末に勃発した薩英戦争。
小さな日本の小さな藩であった薩摩と、世界最高の海軍をもつイギリスとの戦いは無謀であり、イギリス側も薩摩のことをほとんど知らずに戦争は始まりました。
ですが、いざ戦が始まってみると、意外や意外、思っていたよりも薩摩が強く、イギリスは勝利を諦め、帰る結果に。
これは欧米の人たちにとって、とても衝撃的で、「日本、侮りがたし」と驚いたのでした。

さて、そんな薩英戦争が終わったあと、両国は和解し関係がぐっと近づきます。
「お互い、なかなかやりますな」という気持ちの中でリスペクトしあうまでに至るのです。
そして交渉がうまく進んだお礼として、薩摩藩がイギリスに渡したのが「みかん」。
このみかんはいわゆる「温州(うんしゅう)みかん」と呼ばれるものです。

日本で「温州みかん」という名前で知られているみかんの原産地は、鹿児島県。
実は「温州」というのは中国の地名なのですが、中国原産ではなくれっきとした日本の薩摩生まれです。
中国・温州の柑橘類が素晴らしいということにちなんで名前を付けたそうで、ちょっと紛らわしいネーミング。
とにもかくにも、この温州みかんはイギリスにお土産として渡され、「サツマ」という名前で定着したのです。

ちなみに、この温州みかん、明治時代にはアメリカにも渡ります。
もちろん、みかん自体も「サツマ」と呼ばれているのですが、フロリダ州・アラバマ州には、みかんの苗木が渡ったことから「サツマ」と名付けられた町もあるとか。
日本では「温州みかん」という中国の名前で呼ばれているのに、欧米ではきちんと「サツマ」と呼ばれているのは、なんだか不思議ですね。

みかんが繋いだ世界。やっぱり美味しいものは、正義です。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「世界で愛される『サツマ』」として、4月26日に放送しました。

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<番組概要>
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