今冬の選手権を制した東福岡。大会で2ゴールを挙げ優勝に貢献した藤川は、今年のチームを牽引するひとりだ。写真:田中研治

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 2、3月とジャパンユースプーマスーパーリーグ、サニックス杯、中国新人大会、大垣フェスティバル、そして各練習試合と多くのチームを取材して来たが、そのなかでどの指揮官も異口同音で言及するのが、東福岡高校についてだ。
 
 それもそのはず、インターハイ2連覇、選手権優勝というだけでも大きな話題となるが、新チームとなって以降も福岡県新人戦を制すると、九州新人大会も制し、今年も高校サッカー界では優勝候補の筆頭として、各チームからマークされている存在なのだ。
 
 しかも、サニックス杯では藤川虎太朗と鍬先祐弥という攻守の要を日本高校選抜のヨーロッパ遠征で欠きながらも、MF福田湧矢、高江麗央、DF小田逸稀、児玉慎太郎らを軸に、準決勝ではU-17ウズベキスタン代表を撃破して決勝進出。決勝ではU-17日本代表に0-1で敗れたが、準優勝という成績は、さらにその存在をアピールする結果となった。
 
 この王者・東福岡に迫る存在と言えるのが、やはり高円宮杯プレミアリーグに参戦するチームということになるだろう。今季は、EASTが青森山田、市立船橋、流経大柏。WESTは東福岡のほかに昨年参入戦を制した大津、神戸弘陵の2チームが加わる。
 
 WESTでは、3年ぶりにプレミアリーグに復帰する大津が注目の存在だ。近年では『当たり年のひとつ』と言われるほど、能力の高い新1年生が数多く入学する。サニックス杯ではパスセンスがある福島隼斗、スピードアタッカー・水野雄太が早速その力を発揮。このふたりをはじめとする1年生たちがチームの底上げをしてくれそうだ。
 
 また同じ九州地区では大津のほかに長崎総科大附、鹿児島城西あたりが面白い。長崎総科大附はエースストライカーの安藤瑞季、鹿児島城西はCB生駒仁という、ともにU-17日本代表に選出された切り札を持っており、全国の上位を狙える実力を有する。
 
 プレミア初参戦の神戸弘陵は、今冬の選手権ベスト16に終わったが、ポゼッションスタイルをベースに準優勝の國學院久我山に肉薄する戦いを見せた。ボランチの谷後滉人など、昨年度のチームの核となった主力もいるだけに、楽しみな存在だ。
 
 ただ、関西も群雄割拠でインターハイ、選手権の覇権を狙える実力校がズラリ。関西では今年のJクラブ最注目のFW岩崎悠人と、技巧派の2年生・梅津凌岳の全国屈指のタレントを有する京都橘を筆頭に、MF持井響太を擁する滝川二、履正社、阪南大高、大阪桐蔭などの大阪勢も力がある。
 
 プレミアリーグEASTを戦う3チームは、今年も有力候補の一角に挙げられる。
 
 青森山田は、GK廣末陸、MF住永翔、高橋壱晟、嵯峨理久、FW鳴海彰人と昨年のプレミアEAST2位、選手権ベスト4のメンバーが残った。ディフェンスラインは総入れ替えとなり熟成が待たれるが、サニックス杯では東福岡を下すなど、その力は本物。悲願のプレミア初制覇も十分に狙える。
 
 そして、市立船橋、流経大柏という千葉の二強も相変わらず全国トップクラスの実力を有している。今年も対戦が実現すれば、千葉県で全国大会決勝のようなハイレベルな戦いを演じてくれるだろう。MF高宇洋、DF真瀬拓海、原輝綺、杉岡大暉、杉山弾斗と錚々たるメンバーを有する市立船橋に対し、ニューバランスカップ『通称・裏選手権』を制した流経大柏は、FW河西守生、MF本田憲弥、菊地泰智をはじめ、今年も選手層が厚く、前評判も高い。2校ともプレミアリーグEASTで上位に食い込める実力を持っている。
 
 同じ関東では桐光学園の充実が目を引く。プロ注目のDFタビナス・ジェファーソン、MF西川公基、鳥海芳樹ら昨年の主軸が残り、全国でもトップクラスの戦力を誇る。東京では、関東一に注目。昨年のインターハイベスト4の立役者であるMF冨山大輔を擁し、攻守の要の立石爽馬が怪我から復帰しており今年も旋風を巻き起こすかもしれない。さらに、埼玉では松本大志、本間椋、針谷岳晃の攻撃のトライアングルを有する昌平も質の高いサッカーを見せており、全国上位に食い込める力は十分にある。