中国メディアの新浪網は5日「中国の国産エンジンはいつになったらロシアに追いつき米国を抜くのか。WS−10はロシア製に遥かに劣る」と題する記事を掲載した。(イメージ写真提供:(C)Igor Dolgov/123RF.COM)

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 中国メディアの新浪網は5日「中国の国産エンジンはいつになったらロシアに追いつき米国を抜くのか。WS-10はロシア製に遥かに劣る」と題する記事を掲載した。

 記事は冒頭で、中国では最近になり、中国の航空工業はロシアを抜いたと主張する声が多いと指摘。ソ連解体後のロシアは工業生産において、大型工作用機械の大部分を西側からの輸入に頼るなどで、西側から制裁を受ければ製造を中国に委託するような局面も発生しているとも認めた上で、それでも航空産業については「中国人は食器だけを持ってロシアの食堂に行き、食べ物を買っているようなもの」と、中国には最も重要な物を自ら作る力が欠けていると指摘した。

 記事は改めて、中国は過去40-50年間に総合的な航空工業を育成してきたと主張。総合航空工業が成立しているのは米国、ロシア、中国だけであり、英仏などの工業先進国の航空工業も全目的でなく、日本も軽量化など非常に優れている分野はあるが、全面的ではないと評した。

 米国については、製造業の衰退はあるが、依然として世界一の工業強国であることは疑いないと指摘。中ロの比較については「工業における中国の実力はロシアほど強大ではない」と主張。航空工業分野で中国がロシアに及ばない例として、まずエンジン製造で劣っていることを挙げ、さらにロシアの航空工業はソ連時代より劣ってはいるが、「Il-76」や「An-124」などの大型輸送機を「完全に作る」ことができると指摘した。

 記事は、中国が開発中の大型旅客機のC919も「国産化率は30%程度」と指摘した。

 中国が開発中の戦闘機「J-20(殲-20)」については、ステルス性能がロシアの「PAK FA」より優れていると主張。ただし、中国はロシアから大量の航空エンジンを買い続けているとして、中国が実用化した「WS-10(渦扇-10)」は、推進力や寿命などで、ロシアのAL-31と比べて遥かに劣ると論じた。

 記事は「WS-10」について未完成との見方を示し、「いつになったら本当に成熟し、信頼できるエンジンとして量産が可能になるのか?」と疑問を提示した上で「はっきりしたことは言えないと言うしかない」と論評した。

 記事は最後の部分で、「現在の中国製エンジンはロシア製よりも15-20年遅れている。しかも、差がさらに開く恐れもある」と指摘。その上で「われわれは全力で中国国産エンジンの開発せねばならない! われわれの(使う)エンジンが、他人の制約を受けないために」と主張した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Igor Dolgov/123RF.COM)