そのレベルの理解では解決できない/泉本 行志
企業の問題解決を考えるとき、
いろいろなレベルの視点が存在します。
投資家的な非常にハイレベルな視点から、
リソース配分といったことを検討するもの。
あるいは、日常のオペレーションレベルの視点から
プロセスや個々の作業を検討するもの。
ハイレベルな視点では、より抽象的な概念で問題解決を構想するし、
現場レベルの視点では、より実作業を意識して問題解決策を考える。
何を目的として、どこまでの範囲で問題解決を図るかで
視点レベルが変わってきます。
なので、目的・問題解決の対象範囲と視点のレベルが
マッチしてないと実質的な問題解決の成果を得られません。
著書「3D思考」では、
現場レベルに視点が固定化され、
大局的な問題解決を実行できないケースを書きました。
これはよく起こる話ですが、
実際には、その逆のパターンもあります。
最近はそっちの方を個人的によく見かけます。
つまり、
いつまでも概念的な構想ばかりで、
実務に落としこめないケース。
メスを入れる場所が、事業構造、組織構造といった大きな話でなく、
日常のオペレーションレベルであるとなった場合、
ある程度現場レベルまで入り込んで理解しないと、
何も進みません。
抽象的な「べき論」だけの議論を続け、
「誰かがそれを実務に落とし込んでくれる」のを期待しても、
そんな人は誰もいないという状況もよくあります。
そういう状況を見極めたら、
腹をくくって、自分が現場まで入り込んで、肝となる部分の
業務を自分である程度理解した上で、
問題解決をリードしていくことも、実際には必要となります。
それを、
「自分は方向性を示すだけで、現場の細かな話は関係ない。」
という立ち位置を固持しすぎると、結局何も起こりません。
これでは、問題解決へのコミットが弱すぎる。
必要となれば現場に飛び込んで、実務者の話を聞いて、
業務のポイントくらいはすばやく理解・吸収する。
そのくらいの覚悟とベースとなる知識は必要です。
頭でっかちな紙上だけの解決策を示しただけでは、
何も起こらない。
さまざまなレベルの視点から、問題を理解し、
解決アクションをリードできる人が、
安定的な成果を生み続けることができるのだと思います。