「地方創生のススメ」編集部 (東京過疎化プロジェクト) / 合同会社RegionWire

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内閣府が2015年10月に「国土形成計画の推進に関する世論調査」の結果を発表したが、その中で「老後に向けた移住の意向の有無」は以下の通りとなった。


グラフをご覧の通り、年齢が上がるほど「現在の地域に住み続けたい」と移住に対して否定的になっていくのが分かる。

また「移住したい」と回答した人でも、大半が田舎ではなく「地方都市部」「大都市部」を志向しており、70歳以上の「大都市部」志向は他の世代と比べて抜き出ている。


その理由としては、「老後はのんびりと田舎で暮らしたい」と憧れを抱いていたとしても、いざ老後になると既にマイホームを購入していたり、知らない土地で一から人間関係を築くことに不安があること、交通機関の利便性、買い物の利便性、医療機関の充実度だったりなど、さまざまな制約が考えられる。もちろん若年層にとっても制約になるものもあるが、若いうちは環境適応力があるのでクリアしやすいが、年齢を重ねるとともに制約に対する精神的・身体的ハードルが高くなっていく。


一方で都市部は都市部で介護施設の不足だったり、渋滞・混雑・人混みだったりなど、高齢者にとって決して暮らしやすい環境とは言えない。しかし経済成長期に地方から東京に出てきた人たちは上記を考慮の上、消去法的に東京にとどまることを選択しているようにも思える。また他の世代と比較して「大都市」を移住先として挙げる割合が高いのは、子どもが大都市部へ出ていて面倒を見てもらいたいというケースも考えられるだろう。


田舎も都会も一長一短それぞれあり、完全に条件を満たす理想の地域なんて幻想に過ぎない。


そう考えると田舎暮らしを志向するのであれば、「いずれは」ではなく、環境適応力がある若いうちに思い切って移住したほうが結果的に上手くいくのではないだろうか。