都立足立新田vs筑波大附
都立足立新田先発の須藤 洋希
アンダーシャツやストッキングも含めて純白のユニホームという学校は、かつてはかなりあったが、最近では珍しくなった。筑波大附のユニホームは、肩と胸のマーク以外は真っ白という、非常にシンプルなもの。聞けば、前身の東京高師附が戦後復活最初の大会となった1946年の全国大会に出場した時も着ていた伝統のユニホームという。そうした伝統を持つ筑波大附ではあるが、都立の強豪である都立足立新田は、やや荷が重かった。
1回裏、筑波大附の先発、背番号10の右腕・影山 舜が早速捕まる。都立足立新田の2番田窪 嶺の右中間を破る二塁打をきっかけに、3番佐藤 有考は中前安打、4番渡辺は右中間を破る三塁打、5番和歌山 優士は左前安打と続き、6番戸田 雄貴は四球、7番中野 隼人は左中間を破る二塁打と続いて、一気に5点を挙げる。
2回裏も佐藤有の三塁打などで3点を挙げ、完全に5回コールドのペース。投げては須藤 洋希の球威のある球に、筑波大附は当たるのがやっとという感じだ。ただ投球に力みがあり、前半はやや苦しむ。
2回表筑波大附は、一死後6番川埜 直人が、結果としてこの試合唯一の安打となる三塁への内野安打で出塁する。すると川埜は、二盗、三盗と続けて成功させる。7番羽田 優太が四球で出塁するとすかさず二盗。羽田は牽制で挟まれるが、その間に本塁を狙った川埜はアウト。
3回表にも四球で出塁した9番斎藤 祐太郎が内野ゴロで二進した後、三盗。2番宮部 浩人が四球で出塁し、一、三塁となると、宮部が飛び出し挟まれる間に斎藤が本塁を突くが、アウトになった。
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二番手でマウンドに上がった筑波大附・川埜
積極的な走塁はいいけれども、やや暴走気味なのも確か。早稲田大学のスポーツ科学部で学ぶ学生監督である筑波大附の後藤 広一監督は、「相手に球数を投げさせ、盗塁などでプレッシャーをかけようとしましたが、無駄な暴走もありました」と、語る。その後は、都立足立新田の須藤に完全に抑えられる。
それでも、3回からレフトからマウンドに上がった左腕の川埜が好投し、筑波大附も何とか持ちこたえる。それでも、都立足立新田は、5回裏に代打稲葉の二塁打などで1点、6回裏にも、二塁打の戸田を、須藤の右前安打などで還して、6回で10対0のコールドゲームが成立した。
試合後都立足立新田の小野 将幸監督は、「よく打ってくれました。今年は下位も振れています」と語り、一定の手応えを感じている。6回を無失点に抑えた須藤については、「高めに浮く球が多く、もっとピリッとしないと」と指摘したうえで、4、5、6回と三者凡退に抑えた投球について、「3人で抑えたのは今大会初めてです。経験に勝るものはありません」と、今後の成長に期待する。都大会では都立校の意地をどこまでみせることができるかが、注目される。
一方筑波大附は現状としては後藤監督が、「初戦で都立荒川工に勝てたのが、想定外でした。この試合も5回コールドにならず、何とか試合ができるようになりました」と語るようなものであるものの、「春にはもっと勝てる野球ができるチームにしていきたい」と五島監督は決意を語った。東京高師附時代のように全国大会出場というのは困難としても、少しでも多く勝つことを目指しての練習が続く。
(文=大島 裕史)
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