好調の岡崎、香川には大いに期待できる――日本代表メンバーの近況報告|海外組編
9月3日にカンボジア(埼玉/19時25分)と、同8日にアフガニスタン(イラン/未定)と対戦する日本代表。8月27日に発表されたメンバー23人のうち、海外でプレーする選手は10人を数えた。
常連だったGK川島永嗣は、所属チームが決まっていないという理由でメンバーを外れたが、それ以外はほぼ予想通りの顔ぶれと言えよう。
シンガポール戦の引き分け、東アジアカップでの敗北と、低迷するハリル・ジャパンに海外組は希望と自信を取り戻させられるか。重要な仕事に臨む10人の近況をお伝えしよう。
【PHOTO】カンボジア戦、アフガニスタン戦に向けた日本代表メンバー23人
FW
本田圭佑(ミラン)
今季成績(セリエA):1試合・0得点
今シーズンは、前線の右サイドからトップ下へポジションを移行。移籍の噂が常につきまとったプレシーズン、得意のポジションながら効果的なプレーを見せられずにいたが、コッパ・イタリア3回戦では1得点1アシストを記録して一気に評価を上げた。
これに勢いを得て臨んだフィオレンティーナとのセリエA開幕戦だったが、チームが前半途中でCBの退場というアクシデントに見舞われたため、真価を見せる前に交代を余儀なくされてしまった。
この試合では劣勢を変えるプレーを見せられなかったことで、メディアから再び酷評されたが、守備面では彼らしい献身的な面は随所で見られた。コンディションについても、疲労のピークを過ぎたようで、足取りは試合ごとに軽くなっているように見受けられる。
トップ下へのポジションチェンジにより、代表とは役割が異なるようになったが、まだそう日も経っておらず、プレーにおいて大きな違和感を抱くことはないだろう。
FW
岡崎慎司(レスター)
今季成績(プレミアリーグ):3試合・1得点
開幕から3試合連続スタメンで、2節にはさっそく初ゴールと新天地で絶好のスタートを切った。そのウェストハム戦での初得点は持ち味を発揮した“らしい”ゴールだった。DFラインのギャップを突き、クロスにダイレクトで合わせてシュート。GKが弾いたこぼれ球に素早く反応し、ヘッドで押し込んだ。
ラニエリ監督も「岡崎はとても勇敢だ。ゴールは驚くことではない。彼はボックス内でチャンスを嗅ぎつけられるからね」と称賛を送る。
シュートシーンでの駆け引きに課題は残すが、献身的な守備やパスを引き出す質の高い動き出し、巧みなポストワークは、カウンターを志向するチームですでに欠かせないものとなっており、代表戦にも自信を持って臨むことができるはずだ。
FW
武藤嘉紀(マインツ)
今季成績(ブンデスリーガ):2試合・0得点
いずれも最前線で起用されたDFBカップ1回戦とブンデスリーガ2試合を経て、収穫と課題がはっきりと表面化した。前者は退団した岡崎を思い起こさせる献身的なハードワークで、後者は決定力不足である。
78分からの出場で、ほとんどボールに触る機会がなかったリーグ開幕戦(対インゴルシュタット)を除く2試合で、自身に訪れた決定機は3回。その全てでシュートを枠に飛ばせず、理想的なスタートを切り損ねた。
ただし、初先発となった2節のアウクスブルク戦ではチーム2位の走行距離(12.4キロメートル)を記録し、その豊富な運動量を指揮官や地元メディアは称えている。
MF
長谷部 誠(フランクフルト)
今季成績(ブンデスリーガ):2試合・0得点
不動のアンカーとして活躍していた選手を右SBに回すフェー監督の“不可解”な采配がきっかけで、良いリズムを掴めていない印象だ。ヴォルフスブルクとの開幕戦、2節のアウクスブルク戦ともに、前半は右SB、後半は中盤へのポジションチェンジを命じられた。
もちろん、長谷部自身に責任がないわけではない。初戦ではクロッサーへの寄せが遅れたのとゴール前で足を滑らせたのが痛恨事で、2戦目はパスミスが敵の先制点の呼び水となった。
ただ、いずれも右SBでピッチに立っている際の失態で、指揮官にとってはそもそものコンバートが裏目に出ている格好だ。
MF
香川真司(ドルトムント)
今季成績(ブンデスリーガ):2試合・1得点
今シーズンの公式戦初スタメンとなったブンデスリーガ開幕戦のボルシアMG戦で1アシストをマークすると、直近の公式戦3試合で4ゴール。香川自身が「満足していない」と振り返った昨シーズンの鬱憤を晴らすかのように、出場した全試合で目に見える結果を残し、素晴らしいリスタートを切った。
ゴールに直結する仕事以外でも充実ぶりは窺える。やや低めの位置でボール回しに絡み、小気味良いパスを振り分け、守備時はプレスに奔走。開幕戦から中2日→中4日→中3日で試合をこなす過密日程を消化したが、現時点では疲れを感じさせていない。
先発が有力視される8月30日のヘルタ・ベルリン戦で“4戦連発”なるか注目だ。
MF
原口元気(ヘルタ・ベルリン)
今季成績(ブンデスリーガ):2試合・0得点
73分にピッチへと送り込まれたアウクスブルクとの開幕戦では大きな見せ場は訪れなかったが、その初戦で退場したベーレンスに代わり右ウイングで先発した2節のブレーメン戦で好アピール。特に前半は、先制点に繋がるCKを獲得するなど、得意のドリブルによるチャンスメークが冴え渡った。
8月30日に控えるドルトムントとのアウェーゲームでは、1トップでの起用が有力視されている。好調の首位チーム相手に結果を残すようなら、大きな自信を掴んでの日本代表合流となる。
DF
吉田麻也(サウサンプトン)
今季成績(プレミアリーグ):3試合・0得点
ここまで公式戦6試合(プレミアリーグとヨーロッパリーグ予選)の全てに先発フル出場。しかも4バックの左CB、左右SB、さらに3バックの左CBとマルチにこなしながら、堅実なパフォーマンスを続けている。
落ち着き払ったプレーぶりが頼もしかったのは、3バックの一角として無失点に抑えた3節のワトフォード戦。チームメイトに積極的に指示を出すなど、その振る舞いには風格さえ感じられた。
予選から戦う欧州カップとの掛け持ちで疲労が懸念されるが、継続的にプレーしているため、「むしろ良くなっている」とコンディションは万全のようだ。
DF
長友佑都(インテル)
今季成績(セリエA):0試合・0得点
8月23日のセリエA開幕戦では、ベンチ入りしたものの出番なし。カンボジア戦前の数少ない公式戦に出場する機会を逃した。
マンチーニ監督からの評価は芳しくなく、放出候補のひとりとなっている。目前とされたジェノアへの移籍は、クラブ間の合意に至らず交渉が決裂。ガラタサライ、サンプドリアに続いて物別れに終わり、一転して残留する可能性も取り沙汰されている。
いずれにせよ、8月末の移籍期限最終日までは残りわずか。代表戦に集中できる精神状態とは言えないかもしれない。
DF
酒井宏樹(ハノーファー)
今季成績(ブンデスリーガ):1試合・0得点
ダルムシュタットとの開幕戦こそ新戦力のゾルクにスタメンの座を明け渡したが、その初陣で左SBのアルボルノスが低調なパフォーマンスに終始。続く2節のレバークーゼン戦ではゾルクが左に回り、酒井が右SBとして先発フル出場した。
チームはこれといった見せ場を作れずに0-1の敗戦を喫するも、ツヴァイカンプ(1対1)の勝率が69パーセントを記録したように、酒井個人の出来はまずまず。武藤との日本人対決に注目が集まる3節のマインツ戦(29日)でも、最初からピッチに立ちそうだ。
DF
酒井高徳(シュツットガルト)
今季成績(ブンデスリーガ):0試合・0得点
DFBカップ1回戦で、新天地での公式戦デビューを果たした。しかし、そのイェナ(4部)戦で持ち場の右サイドを守り切れず。自身の裏へスルーパスを通され、タッチライン際でマッチアップしていた相手にアシストを決められてしまった。
2節までのブンデスリーガでは一度も出番が訪れなかったが、8月29日の3節ケルン戦は、直近2試合で散々な出来だったオストルツォレクに代わり、左SBでの先発出場が予想されている。自身が「やりやすさを感じている」と語る得意の左サイドで、チャンスをモノにできるか。
常連だったGK川島永嗣は、所属チームが決まっていないという理由でメンバーを外れたが、それ以外はほぼ予想通りの顔ぶれと言えよう。
シンガポール戦の引き分け、東アジアカップでの敗北と、低迷するハリル・ジャパンに海外組は希望と自信を取り戻させられるか。重要な仕事に臨む10人の近況をお伝えしよう。
【PHOTO】カンボジア戦、アフガニスタン戦に向けた日本代表メンバー23人
FW
本田圭佑(ミラン)
今季成績(セリエA):1試合・0得点
今シーズンは、前線の右サイドからトップ下へポジションを移行。移籍の噂が常につきまとったプレシーズン、得意のポジションながら効果的なプレーを見せられずにいたが、コッパ・イタリア3回戦では1得点1アシストを記録して一気に評価を上げた。
これに勢いを得て臨んだフィオレンティーナとのセリエA開幕戦だったが、チームが前半途中でCBの退場というアクシデントに見舞われたため、真価を見せる前に交代を余儀なくされてしまった。
この試合では劣勢を変えるプレーを見せられなかったことで、メディアから再び酷評されたが、守備面では彼らしい献身的な面は随所で見られた。コンディションについても、疲労のピークを過ぎたようで、足取りは試合ごとに軽くなっているように見受けられる。
トップ下へのポジションチェンジにより、代表とは役割が異なるようになったが、まだそう日も経っておらず、プレーにおいて大きな違和感を抱くことはないだろう。
FW
岡崎慎司(レスター)
今季成績(プレミアリーグ):3試合・1得点
開幕から3試合連続スタメンで、2節にはさっそく初ゴールと新天地で絶好のスタートを切った。そのウェストハム戦での初得点は持ち味を発揮した“らしい”ゴールだった。DFラインのギャップを突き、クロスにダイレクトで合わせてシュート。GKが弾いたこぼれ球に素早く反応し、ヘッドで押し込んだ。
ラニエリ監督も「岡崎はとても勇敢だ。ゴールは驚くことではない。彼はボックス内でチャンスを嗅ぎつけられるからね」と称賛を送る。
シュートシーンでの駆け引きに課題は残すが、献身的な守備やパスを引き出す質の高い動き出し、巧みなポストワークは、カウンターを志向するチームですでに欠かせないものとなっており、代表戦にも自信を持って臨むことができるはずだ。
FW
武藤嘉紀(マインツ)
今季成績(ブンデスリーガ):2試合・0得点
いずれも最前線で起用されたDFBカップ1回戦とブンデスリーガ2試合を経て、収穫と課題がはっきりと表面化した。前者は退団した岡崎を思い起こさせる献身的なハードワークで、後者は決定力不足である。
78分からの出場で、ほとんどボールに触る機会がなかったリーグ開幕戦(対インゴルシュタット)を除く2試合で、自身に訪れた決定機は3回。その全てでシュートを枠に飛ばせず、理想的なスタートを切り損ねた。
ただし、初先発となった2節のアウクスブルク戦ではチーム2位の走行距離(12.4キロメートル)を記録し、その豊富な運動量を指揮官や地元メディアは称えている。
MF
長谷部 誠(フランクフルト)
今季成績(ブンデスリーガ):2試合・0得点
不動のアンカーとして活躍していた選手を右SBに回すフェー監督の“不可解”な采配がきっかけで、良いリズムを掴めていない印象だ。ヴォルフスブルクとの開幕戦、2節のアウクスブルク戦ともに、前半は右SB、後半は中盤へのポジションチェンジを命じられた。
もちろん、長谷部自身に責任がないわけではない。初戦ではクロッサーへの寄せが遅れたのとゴール前で足を滑らせたのが痛恨事で、2戦目はパスミスが敵の先制点の呼び水となった。
ただ、いずれも右SBでピッチに立っている際の失態で、指揮官にとってはそもそものコンバートが裏目に出ている格好だ。
MF
香川真司(ドルトムント)
今季成績(ブンデスリーガ):2試合・1得点
今シーズンの公式戦初スタメンとなったブンデスリーガ開幕戦のボルシアMG戦で1アシストをマークすると、直近の公式戦3試合で4ゴール。香川自身が「満足していない」と振り返った昨シーズンの鬱憤を晴らすかのように、出場した全試合で目に見える結果を残し、素晴らしいリスタートを切った。
ゴールに直結する仕事以外でも充実ぶりは窺える。やや低めの位置でボール回しに絡み、小気味良いパスを振り分け、守備時はプレスに奔走。開幕戦から中2日→中4日→中3日で試合をこなす過密日程を消化したが、現時点では疲れを感じさせていない。
先発が有力視される8月30日のヘルタ・ベルリン戦で“4戦連発”なるか注目だ。
MF
原口元気(ヘルタ・ベルリン)
今季成績(ブンデスリーガ):2試合・0得点
73分にピッチへと送り込まれたアウクスブルクとの開幕戦では大きな見せ場は訪れなかったが、その初戦で退場したベーレンスに代わり右ウイングで先発した2節のブレーメン戦で好アピール。特に前半は、先制点に繋がるCKを獲得するなど、得意のドリブルによるチャンスメークが冴え渡った。
8月30日に控えるドルトムントとのアウェーゲームでは、1トップでの起用が有力視されている。好調の首位チーム相手に結果を残すようなら、大きな自信を掴んでの日本代表合流となる。
DF
吉田麻也(サウサンプトン)
今季成績(プレミアリーグ):3試合・0得点
ここまで公式戦6試合(プレミアリーグとヨーロッパリーグ予選)の全てに先発フル出場。しかも4バックの左CB、左右SB、さらに3バックの左CBとマルチにこなしながら、堅実なパフォーマンスを続けている。
落ち着き払ったプレーぶりが頼もしかったのは、3バックの一角として無失点に抑えた3節のワトフォード戦。チームメイトに積極的に指示を出すなど、その振る舞いには風格さえ感じられた。
予選から戦う欧州カップとの掛け持ちで疲労が懸念されるが、継続的にプレーしているため、「むしろ良くなっている」とコンディションは万全のようだ。
DF
長友佑都(インテル)
今季成績(セリエA):0試合・0得点
8月23日のセリエA開幕戦では、ベンチ入りしたものの出番なし。カンボジア戦前の数少ない公式戦に出場する機会を逃した。
マンチーニ監督からの評価は芳しくなく、放出候補のひとりとなっている。目前とされたジェノアへの移籍は、クラブ間の合意に至らず交渉が決裂。ガラタサライ、サンプドリアに続いて物別れに終わり、一転して残留する可能性も取り沙汰されている。
いずれにせよ、8月末の移籍期限最終日までは残りわずか。代表戦に集中できる精神状態とは言えないかもしれない。
DF
酒井宏樹(ハノーファー)
今季成績(ブンデスリーガ):1試合・0得点
ダルムシュタットとの開幕戦こそ新戦力のゾルクにスタメンの座を明け渡したが、その初陣で左SBのアルボルノスが低調なパフォーマンスに終始。続く2節のレバークーゼン戦ではゾルクが左に回り、酒井が右SBとして先発フル出場した。
チームはこれといった見せ場を作れずに0-1の敗戦を喫するも、ツヴァイカンプ(1対1)の勝率が69パーセントを記録したように、酒井個人の出来はまずまず。武藤との日本人対決に注目が集まる3節のマインツ戦(29日)でも、最初からピッチに立ちそうだ。
DF
酒井高徳(シュツットガルト)
今季成績(ブンデスリーガ):0試合・0得点
DFBカップ1回戦で、新天地での公式戦デビューを果たした。しかし、そのイェナ(4部)戦で持ち場の右サイドを守り切れず。自身の裏へスルーパスを通され、タッチライン際でマッチアップしていた相手にアシストを決められてしまった。
2節までのブンデスリーガでは一度も出番が訪れなかったが、8月29日の3節ケルン戦は、直近2試合で散々な出来だったオストルツォレクに代わり、左SBでの先発出場が予想されている。自身が「やりやすさを感じている」と語る得意の左サイドで、チャンスをモノにできるか。