成田vs横芝敬愛
三塁打を打って雄叫びを上げる花嶋（成田）
完全に流れをつかんだ本塁打であった。成田vs横芝敬愛。お互い前チームから活躍している選手が多く、注目が集まった試合。先に試合の流れを掴んだのは、成田であった。一死から2番大矢、3番花嶋の連打でチャンスメイク。そして二死一、二塁から5番岡本が伊藤 翔が投じた速球を見事に捉えライナー性に飛び込む3ラン本塁打で3点を先制した。この本塁打で試合を優位に持っていけた成田。その後の試合運びを見ても余裕があるように感じた。
だが横芝敬愛も一死二塁から1番宮崎の適時打、4回表にも、6番林 勇稀の適時打で3対2の1点差に迫る。先発の伊藤翔も、ダイナミックなフォームから繰り出す常時135キロ前後の直球、キレのあるスライダーのコンビネーションで、2回〜4回まで無失点に抑え、終盤勝負に持ち込む準備はできたかに思えた。
しかし5回裏、二死から失策で出塁を許すと、3番花嶋の適時三塁打で1点を追加。さらに二死一、三塁から5番岡本の右前適時打、6番宮川の左前適時打で6対2と4点差に。 失策から一気に3得点。成田ベンチからすれば、やや捉えられ気味だった尾身健太朗を楽にさせる大きな追加点。横芝敬愛はゲームプランが大きく狂う3失点だった。この3点で勢いを付けた成田は6回裏にも、一死二塁から1番中橋が左中間を破る適時三塁打。ここで伊藤が降板。
さらに二死三塁から3番花嶋が3安打目となる適時打で8対2とさらに広げる。追加点を入れ、試合を決定付けた。
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伊藤翔（横芝敬愛）
尾身は、長身で、なで肩でがっしりとした体型をした本格派右腕。ややスリークォーター気味のフォームから繰り出す常時135キロ前後（最速138キロ）の速球、スライダー、カーブを外角中心に展開。失点したイニングはやや真ん中に集まっていたが、ここぞという場面で高めのつり球を使ったり、変化球を振らせたりと、落ち着いてピッチングを展開。7回表に實川の適時打で1点を失うが、要所を締めて、3失点完投勝利を挙げた。
まだ盤石さというのは感じないが、場数を踏んでいくことでさらによくなっていくだろう。投手としてスケールの大きさ、奥行きは、近年の成田の投手ではトップクラスのものがある。
ただここから自分を追い込んで素質を伸ばしていけるかは本人次第。どのタイミングで本格化するか、じっくりと見ていきたい投手であった。
また成田は尾身だけではなく、多くの好選手が揃ったチームである。特に3番の花嶋は伊藤の135キロ前後の速球、スライダーに対し、しっかりと自分のタイミングで、測っているのが良い。好打者タイプと思いきや、引き付けてインパクト時にしっかりと腕が伸びて振り切るスイングができる。堅実な遊撃守備も魅力で、ナインへ適宜しっかりと指示を送っており、視野の広さもある。5回裏には試合を決定づける三塁打。試合の流れを読むことができる選手で今秋の注目選手に挙がっていくだろう。
この日は当たりはなかったが、4番酒巻翔は恵まれた体格をしたスラッガー。まだ遠回りしたスイングが気になるが、ジャストミートしたときはどんな打球を見せるか楽しみである。県大会に勝ち進めば、上位候補に挙がっていくことは間違いないだろう。
敗れた横芝敬愛も、先発・伊藤や3番高上 幸大、3番手で好投した1年生右腕・白山直哉も130キロ前後の速球、カーブを投げ分け、無失点の好投を見せるなど、個人の能力は間違いなく高い。
点差としては離れてしまったが、見応えある対決であった。
（文＝河嶋 宗一）
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