テポドン発射 訪朝記者「想定外」に大慌て
北朝鮮の招きで朝日新聞、TBSなど日本のメディア各社が取材のため平壌入りしたが、その翌日の2006年7月5日、北朝鮮がテポドン2号など6発以上のミサイルを発射した。「想定外」の事態に、「日本の報道陣がいる時になぜ?」「取材はできるのか」など日本メディアの本社は大あわてだ。
平壌入りしたのは、朝日新聞、読売新聞、共同通信、NHK、TBS、テレビ東京など。朝日新聞によると、朝鮮総連から06年5月末に「拉致問題を含む日朝問題を中心に北朝鮮当局者の取材が可能」という申し入れがあったという。そこで、拉致問題のほか、核やミサイル問題、日朝交渉などについて取材を希望し、06年7月4日に平壌入りし、同8日まで滞在を予定していた。今回の取材団の最大の関心は、拉致被害者の横田めぐみさんの元夫とされる金英男さんへのインタビューだったようだ。
平壌市内の主体思想塔。市民はこの事態を知っているのだろうか
ところが、到着した翌日未明、北朝鮮側が「披露」したのがミサイルだった。記者やカメラマンを派遣したメディア各社は一様にあわてている。TBSの広報部はJINビジネスニュースの取材に「想定外のこと」と驚きを隠せない。
平壌での取材には、不測の事態や混乱なども心配されるが、テレビ東京広報は「特に騒ぎは起きていない」と話した。朝日新聞、読売新聞ともに「記者から記事は予定通り入稿されているため心配してはいない」と答えたが、読売新聞は「今後どうなるかわからないが…」と付け加えた。NHKでは「5日夜のニュースはミサイル問題について大幅に時間を割く。その時、北朝鮮現地からも報道する予定なので、その映像で視聴者に現実が分かると思う」と話した。
さて、今回の北朝鮮取材の提案(コーディネート)をした朝鮮総連だが、JINビジネスニュースの取材に「取材を組んだことと、ミサイル発射は別の問題」と答えた。そして「日本の取材団が行う今後の取材への影響は特に無い」と話した。総連が事前にこの事態を予測していたとは思えないが、北朝鮮側には、訪朝記者団に対しなんらかの意図があったのは確かだろう。