小嶋社長、核心は何も語らず
耐震強度偽装事件で、衆院国土交通委員会は17日、マンション開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長(52)の証人喚問を行った。委員からは、ヒューザーが偽装を認識した後もマンション物件を販売したか、伊藤公介元国土庁長官との関係などについて質問が集中したが、小嶋社長は証言拒否を連発、核心部分については何一つ語ろうとしなかった。
冒頭の林幹雄委員長からの質問に、同社長は「(昨年)10月25日に当社役員が姉歯秀次元建築士と会った。その日付以降に(物件の)引渡し、売買契約が結ばれたことも事実として認識している。しかし、宅地建物取引業法や、それ以外の法律によって違法性があったとの認識はない」と潔白を主張。しかし、各委員からの質問が、偽装を知った経緯、その対応などに移ると、「刑事訴追の恐れがあり答弁を控えたい」との趣旨で証言拒否を続けた。見かねた委員から「テレビの前では話せるのに、なぜ国会では話せないのか」と厳しく叱責される一幕もあった。
小嶋社長は、ディベロッパーとしての会社、同氏の資産は、負債込みで約70億円前後と答弁。補償について「瑕疵(かし)担保責任は無論、すべて社長の私の不徳のいたすところ。深く反省している」とわびて、「自宅、飛行機については売却し、できれば、すべて賠償に充てたい」と述べた。
伊藤元長官との関係について、2005年11月15日に小嶋社長が元長官とともに国交省に出向き、「厳正な国の責任で入居済みの人に速やかな対応を」と同省担当者に求めたが、元長官は何も言わず「聞いていただけだった」と証言。パーティ券購入、個人的献金の事実については認めたが、具体的金額などについては「はっきり覚えてない」と答弁。耐震偽装問題に関して「伊藤氏にお願いしたことはない」と述べた。
また、国土交通省への働き掛けには、安倍晋三官房長官の秘書に相談したことがあることを明かした。
喚問の中で、小嶋社長は再三にわたり付き添った補佐人に相談を求め、審議が中断。場内の議員から激しいヤジが飛び交う中、林委員長から「証言を拒否するか否かについてしか相談できない」と何度も注意を受けた。【了】
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