東京ワールドタワーのイメージイラスト(提供:新タワー誘致推進協議会)

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新東京タワー(仮称)の建設予定地が決まらない一方で、候補地からはずれた地区で新たな動きも出てきた。2005年春の候補地争いで敗れた練馬で、地上デジタル放送(地デジ)用を前提としないタワー建設構想が11月末に発表された。高さ1008メートルの「東京ワールドタワー」だ。実現すれば600メートル級の新東京タワーはもちろん、建設が始まったドバイの800メートル級の建物を抜く世界一の高さだ。一方、現在地デジの電波を送出している、東京タワーも改修計画を発表している。

高さ1キロ級の東京ワールドタワー

 発案者は練馬区内の商工会や体育、福祉、文化関係団体の会長や副会長が参加する「練馬八日会」を中心とする「新東京タワー誘致推進協議会」。同タワーは同区内の娯楽施設「としまえん」内に建設を予定し、すべての電力を太陽光や風力発電などの自然発電でまかなう「エコタワー」を目指すとし、700-800メートルの高さに監視カメラを設置し、「現代の火の見やぐら」を担わせたいとしている。

 誘致推進協議会の山田忠義副会長は「新タワーには防災面の役割も期待されている。練馬は墨田と比べ、地盤の液状化の心配がない」と、地盤面で心配のある墨田区が新タワーの候補地に決定したことに、納得していない様子。建設目的については「アジアの観光拠点にしたい。そして日本の観光センターの役割を持たせたい」と、地デジありきではないことを強調した。隣接する豊島区や杉並区との協調も視野に入れているという。

 しかし、墨田区側の新タワー建設交渉が不調となった場合は「引き受ける用意はある」と、放送塔としての役割もあきらめていないようだ。

東京タワーは333メートルから360メートルへ

 既存の東京タワーも、2004年の新タワー構想発表直後に放送事業者にタワー改修計画を提案している。現在のアナログ放送用アンテナを、11年7月のデジタル放送完全移行後に撤去、アンテナ部分の高さを約100メートル高くして、タワーの全高を333メートルから360メートル程度にする計画だ。アンテナを高くすれば電波の届くエリアを拡大できる。

 現在地デジの電波を送出している東京タワーを引き続き利用すれば、放送事業者は既存の機器を流用できる。特に多チャンネル時代に入り、コンテンツ制作に多額の費用がかかることが予想されるため、ハード面で経費を抑制できるメリットは大きい。

 新タワー建設の目的として、難視聴地域対策や携帯電話で地デジ放送が見られる「ワンセグ」対策が挙げられている。しかし、難視聴地域については、ケーブルテレビや光ファイバーによる対策が主流となっており、携帯電話など移動体向けのサービスについては、100メートルごとにアンテナを設置する方式など、タワー利用以外の方法も模索されている。このため、東京タワーでもデジタル放送へ完全移行できるという意見も聞かれる。

 新タワー建設自体の意義も含め、結論は年明けとなる見込みだ。【了】

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