すみだタワーのイメージイラスト(提供:東武鉄道)

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地上デジタル放送の首都圏の発信拠点として計画されている高さ600メートル級の新東京タワー(仮称)の建設地の決定期限が、2006年3月末まで延期となった。8月25日に第1候補地の墨田区、事業主体となる東武鉄道、NHKと在京民放テレビ5局で構成する「在京6社新タワー推進プロジェクト」の3者間で交わした確認書では、12月末までに最終決定を行うとしていた。3者は26日に年内決定を断念し、同日付で06年3月末までに決定するとした変更合意書を交わした。

 決定時期が延期となった理由について、墨田区拠点整備課の池田成美課長は「9月に入り放送事業者側と協議を開始したが、放送6社が一堂に会する場を多く設けられず、協議時間が不十分。根本的に問題があるのではなく、具体的にどう進めるか確認が必要」と語り、東武鉄道広報センターの福田康人主幹も、同様に協議時間の不足を理由に挙げた。

 また、放送事業者側と東武側とのタワー賃料提示額の隔たりが大きいのが要因ではとの一部報道について、福田主幹は「現在経済的、技術的な面で放送事業者側と協議を行っており、その後に賃料の話になる」とし、提示額の開きによる延期との見方を否定した。

 現在のアナログ放送からデジタル放送へ完全移行するのは2011年7月で、新タワーは遅くとも11年初頭には完成し、試験運用などを開始する必要がある。東武は新タワー建設地の最終決定を、3月よりも可能な限り前倒しになるようにしたい意向だ。東武が計画する「すみだタワー」の高さは約610メートル。地上350メートルと450メートルに展望ロビーと特別展望ロビーを設置する予定で、商業施設やレストランも設ける計画。建設費は概算で約500億円と見込んでいる。

 放送事業者側は、3月28日に押上駅/業平橋駅周辺を建設予定地とする「墨田・台東エリア」を「交渉優先候補地(第1候補地)」として条件付きで選定した。付帯条件は◆隅田川をはさんだ台東・墨田両区の区民と行政が一体となった、観光やまちづくり活動の支援や推進が図られること◆地元住民の受け入れ態勢があること◆都市防災に関する行政支援がなされること−の3点。7月には台東区側の誘致推進団体と連絡会を結成するなど、連携を強めている。また、前述の池田課長によると、新タワー建設予定地のみならず、周辺地域も含めた災害に強いまちづくりを推進するため、放送事業者側と調整を行っていくという。

 一方、第2候補地である「さいたま新都心」の関係者は、不確実ながら12月に入り「年内決定は難しい」との情報を入手していたという。27日の定例会見で、上田清司埼玉県知事は「(協議が)難航しているということは、第1候補地として色々な問題点があることを露呈したものだと思う」と語り、今後の動向に備えるようだ。誘致団体である「さいたまタワー実現大連合埼玉県・さいたま市合同事務局」は「今後も防災面や地盤の強固さなどのメリットをアピールしていきたい」と、最後まで誘致活動を行っていく構えだ。【了】

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