ゆでたまごがデビューした18歳の頃から、よき先輩・後輩だった秋本治先生(右)と中井義則先生

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ゆでたまご漫画家生活35周年を記念して企画された『キン肉マン』史上初の公式ファンブック『超人閻魔帳』がついに発売!

そこで実現した「Wトークバトル」のPART2は、ゆでたまごにとっての“ジャンプの大先輩”にして、すべての漫画家から激烈なリスペクトを集める秋本治。漫画家歴38年を誇る大作家の地元・葛飾で語り合うジャンプ秘話、そして長く描き続ける愉楽と孤独とは――。

■ジャンプ作家の“先輩”と“後輩”

秋本 ようこそ、葛飾へ! 今日はゆでくんの35周年のお祝いなのにわざわざウチの近所まで来てくれて、ありがとうねぇ。

中井 そりゃもう大先輩ですから、こちらが出向くのは当然です。

秋本 なんか申し訳ないね。でも、会うのはホント久しぶりだよね?

中井 相棒の結婚式以来じゃないですか。だから7、8年ぶりとかそれくらいになりますかねぇ。

秋本 そっか。じゃあ次に会えるのはずいぶん先かもしれないし、今日は実のある話をしないとね。

中井 いえいえ、そこはもう僕らがジャンプに入った18歳の頃から実のあるアドバイスをいただいている先輩なので。今でも覚えてることはたくさんあります。相棒と3人でトランプの「大貧民」をやりながら教わったこととか(笑)。

秋本 ああ、箱根の富士屋ホテルに行ったときでしょ?

中井 そうですね。あの頃は毎年1回、ジャンプの作家が全員集まって合宿に行ってたんですよね。あのときも秋本先生のおかげでどれだけ僕ら救われたことか。当時のジャンプって作家も編集者も怖い人が多くて……。酔っぱらった編集者が「オマエら、漫才やれ〜」とか言い出して、ホンマにやらされたりしましたもん。

秋本 ヒドいよね(笑)。

中井 僕ら、未成年で酒も飲めずにシラフでそこに放り込まれましたからね。

秋本 新人にあの場は強烈だっただろうねぇ。特にゆでくんの場合は、断トツで若かったし。

――高校を卒業して即、デビューが決まったわけですもんね。

秋本 僕もそれ聞いて驚きましたよ。高校生が赤塚賞で準入選を獲って即デビューって、どれだけ大型新人なんだってね(笑)。

中井 でも僕ら、アシスタント経験もなく始めたので、ホントに連載しながら手探りで仕事を覚えていったようなもので。だから秋本先生みたいな先輩方に仕事の話をしてもらえるのがうれしかったです。

秋本 まあ、いいことだけじゃなくて悪いことも教わるけどね(笑)。

中井 ええ、“第二締め切り”とか“第三締め切り”みたいに、実はここまで締め切りが延ばせるみたいな悪知恵を授けてくれる先輩もいるにはいましたけど(笑)。

秋本 そうそう、江口(寿史)くんとかいつもギリギリの進行だったでしょ? それなのに「ちょっと気分転換」とか言ってたまに執筆室を抜け出して、そのままパチンコ打ちに行ったりしてて(笑)。

中井 編集の人にバレたら大変でしたよ(笑)。そう、集英社に執筆室っていう缶詰めになる部屋が当時あったんですよね。僕らも江口先生がいらっしゃらないときに少しずつ使わせてもらうようになって、そこからだんだん僕らの使う率が高くなっていったんです。おかげで仕事ははかどりましけどねぇ。僭越(せんえつ)ながら僕ら一時期、“秋本治に次ぐ漫画家の鑑(かがみ)”って言われてたんですよ。

秋本 そうなの?

中井 ほんの数ヵ月間ですが(笑)。

■このつづきは、発売中の「週刊プレイボーイ33号」に掲載!

●秋本治(あきもと・おさむ)

1952年生まれ、東京都出身。76年に『こちら葛飾区亀有公園前派出所』にてデビュー。以降、約38年間にわたり一度の休載もなく、連載続行中。JC最新刊191巻が好評発売中

●中井義則(なかい・よしのり)

1961年生まれ、大阪府出身。ゆでたまごの作画担当。スタジオ・エッグ代表。『キン肉マン』のほか、『キン肉マン?世』シリーズ、『闘将!!拉麺男』『SCRAP三太夫』など代表作多数

(構成/山下貴弘 樹想社 撮影/高橋定敬 取材協力/すし屋の花勘)

■JC『キン肉マン公式ファンブック超人閻魔帳』

8月4日(月)発売!

今回お届けした島袋光年、秋本治両先生との対談のロングバージョン、そして正義&悪魔&完璧超人軍が三つどもえのバトルを繰り広げる最新シリーズの「裏設定」など盛りだくさんの一冊。過去最大規模の「読者超人発表」も!

【http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-880249-7&mode=1】

『キン肉マン』は週プレNEWSにて連載中!

【http://wpb.shueisha.co.jp/2014/07/28/8000/】