アディダスのロゴデザインの歴史について、広報さんに聞いてみた

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世界的に有名なスポーツ用品メーカーのアディダスアディダスといえば『3本線』入ったロゴでおなじみです。皆さんが持っているアディダスの靴にもサイドに3本線が入っていますよね。さて、このアディダスの3本線のデザインやロゴにはどのような意図が込められているのでしょうか? アディダス ジャパン株式会社のブランドPRシニアマネージャー 久保田万美さんに聞いてみました。

――アディダスといえば、ロゴや靴のデザインなどに「3本のストライプ」が入っていることでおなじみですが、この3本のストライプはいつから使われているのでしょうか?

アディダスのシンボルといえるスリーストライプス(3本線)は、アディダスの創設者であるアディ・ダスラーによって1949年にロゴとして商標登録されました。

――なぜ3本のストライプが使われたのでしょうか?

当時の革製のスポーツシューズは、履くうちに中足部が伸びてしまうため、それを3本のバンドで補強したのが始まりでした。その機能をデザインとしても表現するようになってから、「3本線の靴=アディダス」というイメージが浸透していったのです。

――アディダスのロゴやロゴマークの変遷を教えてください。

まず、アディダス社が設立された翌年の1949年にアディダス(adidas)の文字上にスリーストライプスのスパイクを配したロゴが商標登録され、使用されるようになりました。

その後、1971年に古代スポーツで勝者に授けられる「月桂(げっけい)樹の冠」をモチーフにしたトレフォイル(三つ葉のロゴ)が発案され、1972年から1995年までアディダスの正式ロゴとして使用されました。

――ある年代にとっては、アディダスといえば「三つ葉のロゴ」でしたよね。

1990年にアスリートの最高のパフォーマンスを引き出す機能商品に付けるロゴとして、「イクイップメントロゴ」が作られ、それが1996年にアディダスのコーポレートロゴとして採用されました。

現在は、アスリートの最高のパフォーマンスを引き出すテクノロジーの開発をはじめ、スポーツを愛する全ての人のためにプロダクトを展開する「アディダス スポーツパフォーマンスロゴ」として使用されています。

――これらのロゴをデザインしたのは、それぞれ誰なのでしょうか?

創業当初のロゴは、創設者であるアディ・ダスラーが発案し、次のトレフォイルロゴはアディ・ダスラーとその妻であるケイト・ダスラーによるものです。スポーツパフォーマンスロゴは、当時のクリエイティブディレクターだったピーター・ムーアによるデザインです。

――アディダスの製品には、スポーツパフォーマンスロゴ以外のロゴが付いているものもありますが、全部で何種類のロゴがあるのでしょうか?

現在使用しているロゴは、アスリートの最高のパフォーマンスを実現する「アディダス スポーツパフォーマンス」のロゴ。伝説の名品や世界を代表するクリエイターやデザイナーとのコラボレーションなどをストリートスポーツウェアとして展開する「アディダス オリジナルス」のロゴ。

『Y-3』、『adidas SLVR』、『adidas NEOレーベル』、『ポルシェデザイン スポーツ』など、スポーツとファッションの融合により、新たな価値創造をしたファッショングループを総称する「アディダス スポーツスタイル」のロゴ。そして、これらの多様なアディダスのサブブランドを傘下に構えるアディダスブランド全体を表現した「アディダス ブランド」のロゴがあります。

――全部で4種類のロゴが使用されているのですね。それぞれのロゴに込められたデザインの意図などがあれば教えてください。

まず、スポーツパフォーマンスは、アディダスの象徴であるスリーストライプスを、右へと伸びていく山のように見立てたデザインになっています。これは「未来に向けての達成すべき新たな挑戦」を表しています。

次にスポーツスタイルですが、こちらは地球を思わせる丸の中に3本線を投入したデザイン。これは「スポーツとファッションの融合」を表現しています。

――オリジナルスには、どんな意図が込められているのでしょうか?

オリジナルスですが、先にも説明したとおり、月桂樹の冠をイメージしたデザインになります。優れたスポーツ選手や用品の象徴として誕生し、三つの葉が重なり合うデザインは、アディダス ブランドが持つ多様性も表現しています。1995年まで使用されていたトレフォイルロゴを復刻させ、現在ではストリートスポーツウェアブランド『アディダス オリジナルス』のロゴとして使用されています。

――なるほど、おなじみの三つ葉のロゴにはそういった意図が込められていたのですね。ありがとうございました。

3本のストライプといえばアディダス、というくらい世間に浸透しているデザインの由来が、靴の補強バンドというのは驚きました。シンプルで分かりやすいデザインというのも、広く浸透するきっかけになったのでしょうね。

(貫井康徳@dcp)