ブラジル戦を終えて、本田。「思ったとおりに試合を運べず、非常に残念。完敗だった」と悔しさを語った。
力の差は歴然としていました。日本と世界のトップとは、まだまだかけ離れているということを教えてくれたゲームだと思います。こういうプレッシャーのかかった試合では、技術の差がハッキリとします。「個」の部分で日本とブラジルでは大きな差がありました。

組織の面でもブラジルが上回っていました。日本にとって失点は想定内だったでしょうし、先制された後は落ち着いてプレーできていました。ただ、どうやってボールを奪うかという意思統一は見られませんでした。逆にブラジルはいつゴールを奪いに行き、いつ守るかというコンセンサスが取れていました。

ブラジルはホームなので試合開始から積極的に前に出て、一気にイニシアティブを握ってしまいました。日本は最初に点を奪われ、しかも相手のほうが技術が上ということで、メンタル面で後手に回ってしまった選手もいました。その気持ちがプレーに出てしまって、余計に厳しくなっていましたね。

選手起用についても、最近の試合と同じく疑問が残りました。点を取りに行かなければならない中で、どうして守備的な細貝なのか。乾を先に入れて攻撃的にいくほうがよかったのではないかと思います。

中盤でボールを支配されていたので、ボールへのアプローチを強めたいと考えたときに細貝という選択肢が出てきたのでしょう。そうであったとしても、遠藤や本田というチームの核を変えたというのは、意図がわかりませんでした。特に本田はあの中でもボールがキープできて、前も向けていましたから。

ともかく、次のイタリア戦に向けて急いで準備しなければなりません。僕はイタリア戦のほうが勝つチャンスがあると思っています。

イタリアは本当に強いし、個人も素晴らしい選手が揃っているのですが、組織のほうがより目立つチーム。それなら、まだ日本も対抗できるのではないかと思っています。

次はまず試合の立ち上がりの失点に気をつけてほしいと思います。そして気持ちを立て直し、勝利への意欲を前面に出すこと。今大会では自分たちをすべて出し切ることが大切です。そこに最後までチャレンジしてほしいと思います。

 (撮影:岸本勉/PICSPORT。6月15日、ブラジリア国立競技場にて)

前園真聖

■プロフィール
前園真聖(まえぞの まさきよ)
1973年生まれ、鹿児島県出身。サッカー解説者。横浜フリューゲルスで1992年、プロデビュー。その後、東京ヴェルディ(ヴェルディ川崎時代も含む)や湘南ベルマーレでプレー。ブラジルのサントスやゴイアス、韓国の安養LGチータースや仁川ユナイテッドに在籍するなど、国外にも活躍の場を広げた。

現在は、自身のZONOサッカースクールを総合プロデュースしているほか、2009年にビーチサッカー日本代表として現役復帰。同年11月、UAEドバイW杯・ベスト8に貢献した。

前園真聖・公式Twitterアカウント
@zono23