ＷＢＣの盛り上がりも敗退後は潮が引き、ペナントレースが開幕した。シーズンを盛り上げてＷＢＣの憂さを晴らしたいところだが、現場をよく知る記者たちの間では「ＷＢＣに出場した選手は成績が悪くなる」という噂があるようだ。

スポーツ紙デスクがこう明かす。

「前回大会からいわれていることだけど、主力選手は過労、控えは練習不足に陥って調子を落とす。結果、ＷＢＣに参加した選手はおしなべてそのシーズン、成績が悪くなるんだよなあ。巨人とソフトバンクが断トツの優勝候補というのが今年の“定説”だったけど、両チームともＷＢＣに大量派遣しただけに、どうなることやらだね」

記者Ａ氏もうなずく。

「とはいえ、対抗もいませんよ。特にセ・リーグはひどい。中日はオープン戦最下位でしたが、先発は手術明けの吉見以外、総崩れ。リリーフも頼みの浅尾が右肩の故障で、復帰のメドすら立ちません。打線もブランコが抜けた穴を埋められず、高橋周平以外で育ってきた若手もいない」

中日・�睫擺篤弔漏�幕前のファンミーティングで「（チームが）老朽化しているといわれますが、そのとおりです。だいたい監督が老衰ですから。前期高齢者でもあります」と開き直っていたそうだが、このままでは冗談では済まない結果になりそうだ。

一方、記者Ｃ氏はヤクルトの不安材料を挙げる。

「バレンティン、川端と中軸打者が故障で、先発ローテに入ってほしい由規（よしのり）もまた二軍スタート。毎年のように故障者が多く、ベストメンバーで戦えないチーム体質なのかな」

さらに、ほかの球団も内情はボロボロだ。

「広島はまだオープン戦なのに、負けたらスタンドから『野村（監督）！　辞めろ！』とヤジが飛んでいた。意味不明な選手起用は今年も健在みたいです（笑）。ＤｅＮＡは中日から外国人３選手を引き抜いて多少はやるだろうけど、国吉（くによし）ら期待の若手投手が不振でプラスマイナスゼロかな」（Ａ氏）

残るは阪神のみ。大型新人の藤浪（ふじなみ）に期待が高まっているが……。

「昨年は５位でしたが、今年は最下位かも……。藤浪には『壊しちゃいけない』という球団方針（笑）で、キャンプからまともな練習をさせていないんです。普通、高校卒の選手なら鍛えて育てるのに、キャンプのブルペンでの投球数は多くても一日６０球余り。それを一軍に使うんだから、途中でガス欠になるのは間違いないし、逆に故障しちゃう恐れもある」（記者Ｂ氏）

阪神の弱みについて、前出の記者Ｃ氏が続ける。

「そもそも、藤川が抜けた抑えの補強が最重要課題だったのに、メジャー帰りの五十嵐の争奪戦でソフトバンクに負け、結局獲得したのは野手の西岡と福留。わけがわかりません。ふたりともある程度は打つでしょうが、思った以上に守備がよくない。特に西岡なんて、ロッテ時代と比べたら動きが鈍く、守備範囲もかなり狭くなった。“見えないエラー”というか、アウトにできたはずのヒットが増えそうです」

ＷＢＣで高じた野球熱もどこへやら、巨人以外のチームが軒並み不安だらけのセ・リーグ。開幕から巨人独走でペナントレースの興味ゼロ……なんて残念なことにならなければいいが。

■週刊プレイボーイ１５号「バクハツ寸前！ プロ野球開幕記念記者座談会」より