今季、埼玉西武ライオンズからオークランドアスレティックスに移籍した中島裕之選手のキャンプインが間近に迫ってきた。いよいよ2月17日、アリゾナのフェニックスで中島裕之選手がアスレティックスのユニフォーム姿を披露することになる。背番号はコーチから譲り受けた3番。ライオンズファンとしても馴染み深い背番号だ。現在はアスレティックスのグリーンとイエローのジャージを身にまとい、マイナー選手に交じってフェニックスで自主トレをしている。

現在日本には、中島選手の周囲に関する気になるニュースがいくつか入ってきている。その一つはショートストップを本職とするローリー選手の加入だ。ローリー選手は昨季アストロズの一員として97試合に出場し、打率.244、16本塁打、42打点をマークしている。29歳と中島選手と年齢は変わらず、ショートストッパーとしての良きライバルとなるかもしれない。だがアスレティックスのメルビン監督は、ローリー選手はユーティリティプレイヤーとして期待している。つまりショートストップだけではなく、サードやセカンドなども守らせるということだ。メルビン監督のこの言葉を聞く限りでは、ショートストップはあくまでも中島選手で行くことになりそうだ。

とは言え、ローリー選手自身はショートストップに対するこだわりを見せている。メジャーリーガーは自分の意思をハッキリと監督に伝える選手も多いため、もしかしたら激しいショートストップ争いが繰り広げられる可能性もあるかもしれない。だが中島選手が自らの能力を普通レベルで発揮することができれば、この競争に敗れることはまずないだろう。一部では中島選手は2番ショートとして起用される予定だと報道されている。この情報を踏まえるならば、やはりショートストップはよほどでない限りは中島選手が務めることになりそうだ。

過去、メジャーリーグに挑戦した日本人ショートストッパーは何人かいる。松井稼頭央選手、西岡剛選手、川崎宗則選手。日本では一流の成績を残した彼らであっても、メジャーで結果を残すことはできなかった。松井稼頭央選手はロッキーズの勝利に貢献できた時期もあったが、しかしメッツ、ロッキーズ、アストロズと渡り歩くも、安定した成績を残すことはできなかった。このような過去があるため、日本人ショートストッパーの評価は現在メジャーでは頗る低い。だが彼らと中島選手を同じように考える必要はないだろう。なぜなら中島選手はライオンズ時代から、メジャーを意識した打撃フォームを作り上げてきたからだ。

松井選手らは、日本で日本人投手を打つための打ち方そのままで海を渡った。だが中島選手の場合はそうではなく、メジャーリーガーを打つための打ち方をしっかりと作り上げた後に海を渡ったのだ。この差は非常に大きい。以前のコラムでもたびたび書いたことではあるが、中島選手は打撃に関してはすぐにメジャーに適応していくことができるだろう。いきなり3割を打てるかどうかは難しいところだとは思うが、しかし2番打者としてビーンGMが目指す野球の歯車として、しっかりと機能した活躍を見せてくれるはずだ。

一方守備に関しては、人工芝の日本に対しメジャーは天然芝の球場がほとんどとなる。ということはグラウンドボールの球足は平均的には日本よりも遅くなるはずだ。もちろん強打者の弾丸のような打球は別として。天然芝の球場になれば、イレギュラーは人工芝とは比較できないほど増えることになる。過去、多くの日本人野手が天然芝の対応に苦労をしてきたが、しかし中島選手はそれほど苦労しないのではないだろうかと筆者は考えている。なぜなら中島選手は動物的に、本能でプレーをすることができるタイプだからだ。例えば打撃で言うならば、まったく待っているボールではなかったとしても、本能が打てると判断すれば意思に反して自然とバットを出して打ちに行く。このようなプレーが守備でも見られると筆者は予想しているのだ。

日本人の巧いショートストッパーはある程度打球の行方を予測してグラブを出す。そのため予測から外れたイレギュラーバウンドがあると対応し切れなくなることが多い。これが、日本人ショートストッパーが天然芝に対応し切れなかった理由だと筆者は考えている。だが中島選手の場合は打球の行方を予測するというよりは、飛んできたボールを飛んできた時にしっかりと捕球するという考えて守っているように筆者の目には映っていた。もし筆者の目に狂いがないとすれば、中島選手は天然芝の球場でも、西武ドームでの守備と然程変わらないフィールディングを見せてくれるのではないだろうか。

上記のような理由から筆者は、中島選手は初めてメジャーに定着できる日本人ショートストッパーになると確信している。さて、読者の皆さんはどのように考えているのだろうか?日刊埼玉西武ライオンズfacebookページのアンケート欄より、ぜひお意見お聞かせください。