長州力「藤波さんの“噛ませ犬”発言? アレはマスコミが書いたものです」
10月5日“金曜夜8時”――。かつて新日本プロレスのテレビ中継が行なわれていた記念すべきこの時間に、プロレスラー長州力と高田延彦の対談が実現した。
集英社が主催するイベント『週プレ大學』で実現した両者の対談。プロレスに精通する水道橋博士がMCを務め、会場となった新宿FACEは、400人以上のプロレスファンで満員札止めとなった。
年齢は11歳違い、そして新日本プロレスでのデビューは7年違いという先輩後輩。革命戦士として他団体を渡り歩き、ストロングスタイルのド真ん中を走り続けた長州に対し、“Uの申し子”ともいえる高田。接点は少なく、今までにふたりが会話した時間は、1995年の「新日本プロレス×Uインター」全面抗争の交渉時も含めて、トータルでも「5分に満たない」とのこと。
水道橋博士が言う「5分後の世界」では、高田が新人時代、長州から「お前はプロレスのセンスがないから辞めろ」と言われたことなどが暴露され、会場は大いに盛り上がった(長州は、「そんなコト言ってない!」と強く否定)。
そして話は、長州の名言「俺はおまえの噛ませ犬じゃないぞ!」に及ぶ。82年、メキシコ遠征に出て世界王座を獲得した長州は、凱旋帰国試合の10・8後楽園ホールで、先輩格の藤波辰巳に、プロレス界では掟破りの下克上宣言を行なった。その後続く「名勝負数え歌」は、ここから始まった。
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博士 この台詞(セリフ)、映像に残ってないんですよね。一説には試合後、雑誌のインタビューで言ったとか。
長州 これはマスコミが書いたものです(キッパリ)。
博士 マスコミが書いた! 歴史の教科書が書き換えられました!!
長州 僕はそのときの感情でモノをしゃべって、マスコミがパッと書いたんじゃないですか。
博士 でも、「噛ませ犬」という言葉を当時僕は知りませんでしたよ。闘犬の用語だと後から知りました。
長州 僕の田舎(山口県周南市)では闘犬やってましたから。
博士 じゃあ、マスコミが作ったにしても、ご自身の今の思いと合致してるという気持ちはあったわけですね。
長州 あ、やっぱ言ったかもわかんない(場内爆笑)。
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あやうくプロレス界の名言のひとつが覆(くつがえ)るところだったが、やはり長州が自ら発した言葉ということで決着、観客も含めた一同はひと安心だった。
プロレスがもっとも熱かった時代のワンシーンを、近くで見ていた高田はこう振り返る。
「とにかくあの瞬間の長州さんのビッグインパクトは私の中に残っている。普通は、あの後楽園をピークとして尻すぼみになっていくじゃないですか。ところが、そこからさらに上がっていったのがすごい。いくら周りやファンが応援したって、本人にとんでもないエネルギーがないとあの長い抗争は持続しないと思うんですよね」(高田)
(取材/中込勇気、撮影/ヤナガワゴーッ!)
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