“需要の先食い”の反動なのか、エコカー補助金の申請が予想外に伸び悩んでいる。関係者は「若者の自動車離れを見せ付けられた格好だ」と肩を落とす。
 なぜ“熱気”が消えたのか。ディーラー関係者が指摘する。
 「2009年4月から行った前回と、昨年12月から実施した(受付開始は4月2日)今回では、補助金の額に違いがある。前回は普通車をハイブリッド車などのエコカーに買い換えた場合の補助金が25万円。これに対し今回は一律10万円(軽は一律7万円)と、見劣りしますからね」

 しかし、ここへ来ての失速は「単にそれだけの理由ではない」と、別のディーラー関係者は打ち明ける。
 補助金打ち切り直後だった前回の'10年10月、国内の新車販売は前年同月比で実に23%の大幅減に見舞われた。これぞ、政策的な“需要先食い”の反動にほかならないのだ。関係者が続ける。
 「最初のエコカー補助金はリーマン・ショックで世界経済がガタガタになり、これが自動車業界を直撃したことから政府が腰を上げ、ユーザーが『プリウス』『フィット』などの人気車種に飛びついた。当然、補助金の対象期間が終了すれば反動が出る。そこで今回、円高で苦しむ自動車業界を支援することを名目に第2弾の補助金に打って出たのですが、実を言えば人気車種を買いたい人の大半は既に買っている。これが7、8月に入って販売失速した大きな理由です」

 今回のエコカー補助金終了後、日本の自動車業界はどうなるのか。
 「補助金は麻薬と一緒。自業自得とはいえ、これで業績が悪化する会社が続出すれば、政府はまた屁理屈を並べてエサをぶら下げるでしょう」(証券アナリスト)

 エコカー補助の第3弾もありそうだ。