分厚い説明書もなく、パッケージからしてスタイリッシュなiPhone。ドコモユーザーにとって無視できない端末だが、しばらく手にすることはできなさそう?

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スペックやデザイン、そして発売時期に関して、世界中でさまざな憶測が飛び交うiPhone5(仮称)。今秋発売とも予測されているが、これまで何度も真偽不明の商品画像がネット上に流出するなど、その関心の高さがうかがえる。

しかし、日本のケータイユーザーがもっとも知りたいのは、今度こそ国内最大手キャリアであるNTTドコモから発売するのか、という点かもしれない。モバイルナンバーポータビリティによってケータイキャリア選択の自由度は広がったものの、「iPhoneのためにドコモから別キャリアに移行するのはちょっと……」と、二の足を踏んでいる人も多いのでは?

はたして最新の情報はどうなっているのか。アップル社情報に詳しい日本のスマホ業界関係者A氏は、たとえiPhone5でもドコモから発売されることはないと推測する。

「4月の末に、山田隆持社長が『現状ではドコモがiPhoneを取り扱うのは難しい』と明言してるんだよね。それは販売権を与える見返りに、アップルがドコモに要求している条件があまりに厳しいため。6月に予定されている社長交代を機にドコモの方針も変わるかと期待されてたけど、次期社長の加藤薫氏もどうやら山田社長と同路線を歩むらしい。だから、ドコモからの発売はしばらくないと思ったほうがいい」

この意見には、ITライターのB氏も同調する。

「キャリアがただの回線提供者になってしまうと、あとは同業者間の低価格競争に突入して疲弊するだけなのは目に見えています。ドコモはそうした“土管化”だけはなんとしても避けたいと考え、自社のネットワークとサービスを融合させたビジネスモデルを確立しようとしています。しかし、iPhoneを導入すればアップストアやiTunesやiCloudなど、サービスの根幹をアップルに握られてしまう。ドコモとして、そこはどうしても譲れない。だからこそ今、Android端末価格や回線使用料を値下げするなど、iPhoneの力を借りずに顧客流出を食い止めようと必死になっているわけです」

山田社長はこれまで、キャリアが通信回線だけを提供し、サービスや端末は他社に依存するようになると、ドコモがただの「土管屋(地下を通るネットワーク=土管だけを提供する企業の意)」になってしまうと危惧してきた。だからこそ、iPhoneというキラーコンテンツに頼らないビジネスモデルの確立を目指しているのだ。

ソフトバンクやauがiPhoneへの依存を強めている現状、ドコモはいつまでこの方針を維持するのか、それともiPhoneを凌駕する魅力的なAndroid端末が登場するのか。現在の端末に満足しているドコモユーザーにとっては、まったく関係のない話ではあるが、しばらくはiPhone5のスクープ合戦が続きそうだ。