昨日、ライオンズは4選手の背番号変更を発表した。その中で岡本篤志投手が59番から22番になったわけだが、これはまさに守護神定着への期待の現われではないだろうか。22番と言えば大魔神・佐々木主浩投手や、高津臣吾投手など、日本を代表するクローサーが背負って来た番号だ。岡本投手もそれにあやかり、ぜひ来季は守護神というポジションに定着してもらいたいと思う。

岡本投手が1軍に定着できるようになったのはここ2年の話だ。入団した2004年から2008年までは1軍に定着することは出来ず、2009年は股関節の疲労骨折もあり、一度も1軍に上がることはなかった。それでも渡辺久信監督からの期待は常に大きかった。岡本投手は、渡辺監督が2軍投手コーチに就任した年に入ってきた投手だけに、渡辺監督自身、岡本投手のことをよく知る。それだけに期待も大きい。

2008年まで1軍に定着できなかった要因は与四球の多さと、四球を出した後に簡単にストライクを取りに行ったボールを痛打されること。それとウィニングショットがなかったということが主な要因だった。2008年までの岡本投手の被安打率は14.34で、これに四球を加えると19.78という数字に膨れ上がる。つまり9イニングを投げれば、約20人の打者を出塁させる計算だ。

この数字を去年・今年だけに限ると7.81で、四球を加えても12.00という数字となり、2008年までと比べると大幅に改善されていることが分かる。股関節を疲労骨折したことで、もう一度丁寧に下半身を作り直したことが制球の安定につながったのかもしれない。

だだし、最近2年だけの数字がいくら改善されたとは言え、まだまだ物足りない数字だ。守護神になるためにはこの数字をもっと向上させていく必要があるだろう。しかし数字だけですべてを判断することはできない。つまりフルシーズンを1軍で戦った経験がほとんどない岡本投手にとり、この2年間のシーズン中の疲労度は決して小さくはなかったはずだ。その疲労からくるバランスの崩れが、時に簡単に失点してしまう結果を生んでしまった。

もし来季、シーズンを最初から最後まで戦い抜くことに慣れてくれば、岡本投手の安定感は間違いなく増すことになるだろう。弱点だったウィニングショットも、昨年からチェンジアップで空振りを取れるようになっていることから、もう心配は要らないはずだ。

そして渡辺監督が岡本投手をクローサーにしたい最たる要素は、気持ちの強さにある。岡本投手は、ライオンズの投手陣の中では最も気持ちの強い投手の1人だ。クローサーは常に僅差の最終回で投げることになる。この状況で気持ちが弱ければ、当然だがリードを保ったまま3つのアウトを奪うことは出来ない。クローサーには精神的強さも求められるわけだが、岡本投手にはそれがある。だからこそ渡辺監督は岡本投手をリリーバーとして重用しているのだ。

守護神というポジションは、1年や2年結果を出したからといって、簡単に務まるようなポジションではない。牧田和久投手のようにルーキーが成功するケースは非常に稀なのだ。そういう観点から見ても、今季の岡本投手はまさに守護神としての酸いも甘いも経験した。この経験はまさに来季の宝となるだろう。今季の経験を糧にすることができれば、岡本投手は来季、不動の守護神として9回を任せられるようになるはずだ。

プロ入り以降様々な苦難に遭ってきた岡本投手には、遅咲きの大輪として来季はパ・リーグを代表する守護神として1年間最後まで活躍し、ライオンズの日本一に大きく貢献してもらいたい!