担当M(以下M):日本代表が取り組んでいる「3-4-3」のシステムについてラモスさんはどう考えますか? なかなかうまくいかないのですが。

ラモス(以下R):そりゃうまくいかなくて当たり前ですよ。僕は「3-4-3」はとても難しいと思う。だけど取り組んでおくことは大事。負けているときなんかに使うのはいいでしょうからね。

M:オプションの一つということですか?

R:そういうことです。それに「3-4-3」をまだベストのメンバーでは試していないんだから、今の時点でうまくいくとかそうじゃないとか、言ってもおかしいでしょう。選手たちにとっても負担が大きいシステムなんだし、相手も対策を考えやすいシステムですから。

M:もしもラモス監督が「3-4-3」の日本代表と対したらどう動きますか?

R:僕は中盤をダイヤモンドの「4-4-2」にしますね。そしてトップ下をぐっと上げます。「4-3-3」とも言えるでしょうね。すると3バックはそれぞれ1人ずつマークしなければならなくなる。そうするとカバーリングができなくなってくるから、必然的にもう1人選手が下がらなければならないんです。

M:「3-4-3」の形が崩れるということですね。

R:そうです。「3-4-3」は「4-3-3」にならざるを得なくなって、「3-4-3」でやろうとしていたことはできないはずです。僕がプレーしていて相手が「3-4-3」にしてきたら、きっとぐっと前線に出て行くでしょうね。それだけで相手をパニックさせられると思いますよ。だけどね、こんなのはおかしい話です。

M:どんなところがおかしいのですか?

R:システムは柔軟じゃないといけないんです。「4-3-3」でやっていても、相手が上がってきたらサイドのFWが下がってマークしなければならない場面では「4-4-2」になっているわけですし、他のシステムでも同じように頭を使いながらプレーしなければならない。あまり数に焦点を当てすぎた議論というのは意味がないんです。選手の応用力が大事になってくるのだから。その応用力を生かせる日本代表のシステムとしては、今のところ「4-2-3-1」が一番いいと思いますけどね。

M:何より重要なのは考える力ということですね。

R:そういうことです。単純だったのは「3-5-2」ぐらいです。ところが不思議なことに、僕が現役のころ「4-4-2」はできても、簡単な「3-5-2」ができない選手というのがいました。日本代表クラスだったのにね。つまりシステムは選手に依存するんです。それを忘れちゃいけないでしょうね。