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 恋した相手が普通の女の子じゃなかったら? 好きになった相手の隠された秘密。相手とずっと一緒にいたいと願えばこそ、秘密ごとはないほうがいいと思ってしまいますよね。けれども、その隠された秘密が“人間じゃない”としたら…。押さえることのできない恋する気持ちと、真実を知ってしまったときの衝撃で心は動揺してしまうでしょう。あなたなら、一緒にいることを選ぶか、離れるかどちらを選択するでしょうか。

モールス

 『キックアス』でファン層を増やした美少女クロエ・グレース・モレッツ主演の最新作で、本作は、世界中で絶賛されたスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』を、ハリウッド版としてリメイクした作品。あのスティーヴン・キングが「この10年のベスト映画NO.1」と太鼓判を押した傑作スリラーなのです。

恐怖1:小さな町で残酷な連続殺人事件が多発

 舞台は、80年代のアメリカ・ニューメキシコ州の雪に閉ざされた田舎町。そんな小さな町で突如、トンネルで男性が惨殺されるなど身も震えるような猟奇的連続殺人事件が続発! 雪に閉ざされた町という逃げ場がない恐怖と寒さ、それだけで心が震えてしまいますが、惨殺シーンの中でも生きたまま首を切り裂かれ血を全て抜き取られた少年のシーンは一瞬凍ります。終始ヒヤリとした気分でいられる雪と血がモチーフの世界に、いつのまにかどっぷりです。

恐怖2:君は何者なの? 隣人が血を見て豹変!

 いじめられっ子で孤独な少年・オーウェン(コディ・スミット=マクフィー)は、遊び相手もいない退屈な毎日を過ごしています。そんなオーウェンは、隣の部屋に引っ越してきた少女・アビー(クロエ・グレース・モレッツ)と運命の出会いをします。ただ、アビーは雪の中を裸足で歩いたり、嗅いだことのない香りがする不思議な少女。それでも、アビーと関わっていくことで、じょじょにオーウェンが変わっていき、いじめっ子に反逆。アビーに勇気をもらい、いじめっ子に反逆できたことが嬉しくなったオーウェンは、アビーと血の誓いをしようとします。しかし、その途端にアビーの様子が豹変。実はアビーは人間の血を吸うヴァンパイアだった…。すでにアビーに恋心を抱いてしまっているオーウェンは、体ではなく心がズタズタに切り裂かれて深く傷ついてしまいます。オーウェンのショックの大きさを考えただけで恐ろしいです。

恐怖3:目には目を、歯には歯を。

 オーウェンの反逆に腹を立てたいじめっ子グループの行動はエスカレート。オーウェンをプールに閉じ込めリンチするシーンは、残虐で少年たちの暗く深い心の闇にドキリとします。それこそ、命を奪うことに迷いを感じない“罪の意識の低さ”には、ゾッとしてしまいます。実は、いじめっ子のリーダー格の少年自身も、実の兄からいじめを受けているのです。強い者には逆らえずいじめられている子が、自分より弱い立場の人間を見つけてはいじめるという出口のない連鎖には、救いようがなくまるで地獄。身の毛もよだちます。

総評:初恋もピュアで美しいだけで終わらせない、ゾッとする残酷さも魅力

 人によって、エンディングをハッピーなのかアンハッピーと感じるか、色々と感じ方は違うようです。私は、どちらかというとアンハッピー派。ハッピーのようなそうでないようなという、なんとも表現しにくいのですが絶望感だけではなく余韻が残ります。純真で力強い2人のキャラクターは、苦境にもめげず立ち向かっていくのですが、12歳という若さを考えると言葉にはできない恐怖心を覚えます。ただ、その恐ろしさも2人の恋心を“美しく引き立たせている”ため、恐怖だけで終わらせることはなく、ラブロマンス要素もきちんと確立されているのが一番の魅力かもしれません。

モールス - 作品情報
「ホラー映画」特集ページ

絶叫度 ★★☆☆☆ 流血度 ★★★★★ 怪物度 ★★★★☆ 迷宮度 ★★★★☆ 現実度 ★☆☆☆☆