チャンピオンズリーグ決勝に進出して大喜びのマンチェスター・ユナイテッドだが、どうやらファンはそうも言っていられないようだ。

ウェンブリーで行われるバルセロナとの決勝戦は、最低でも150ポンド(約21000円)する上、ファンにまわってくるチケットは少なく、ブラックマーケットでは7000ポンド(約98万円)の値が付いていると、英ミラー・フットボールが報じた。

ユナイテッドのサポーター協会のマーク・ロングデン氏は、UEFAの価格設定と分配法がいかに一般のファンの感覚と乖離しているかを訴える。
「今シーズンのホームとアウェイの試合を全部観戦した純粋なファンは、その中でも最も大事な試合を見られないんだ」
「ミシェル・プラティニ(UEFA会長)はもっと家族一緒に見に来てもらいたいと言って、決勝を(水曜日から)土曜日に変更した。それなのにチケットの価格がこれじゃ。あまりにバカげている。まったくの矛盾だ。でも、昔からこうだったし、これからも変わらないだろうね。僕らは毎年同じことを言うしかないんだ」
「それにチケットの分配に関してもずっと前からあらゆる人たちに訴えてきたが、何もなされていない。あらゆるレベルで、試合は普通のサポーターの手からますます離れていくんだ」

ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督も、これまでチケットの分配問題については疑問を呈している。UEFAがスポンサーや要人などに便宜をはかるばかりでは、忠実なファンを失うことになると憂いているのだ。
「本当にひどい。企業相手のことばかりだ。監督や選手たちには手の及ばないことだ。どうすればいいかわからない」とファーガソン監督は話す。

ユナイテッドには5万5000人のシーズンチケットホルダー、バルセロナには15万人のソシオがおり、今季のファイナルのチケットは激しい争奪戦が予想される。

ユナイテッドのファンには5日からチケットが発売開始になったが、それも抽選だ。ウェンブリーの収容人数は8万6000人だが、ユナイテッドとバルサのファン向けのチケットは共に2万5000枚ずつ。そして、UEFAは”ヨーロッパのフットボールファミリー"、つまりスポンサーや協会関係者や要人やVIPのために2万5000枚を用意している。

一般販売の1万1000枚はすでに完売で、オンラインのチケットサイトなどで法外の値段で売られている。たとえば、マドリードを本拠にするチケット屋では、150ポンドのチケット1枚が6000ポンド+手数料1088ポンド。e-Bayのオークションでは2枚6600ポンドでスタートしているという。

UEFAは、こうして転売されたチケットについては厳しく取り締まるとして、「ファンのみなさんはオフィシャルの窓口で購入してください。現在残っているチケットは各クラブから個人に売られるものだけです」と警告した。