キエーヴォFWペッリシエと空中戦で衝突し、頭がい骨折の重傷を負って１カ月。インテルDFクリスティアン・キヴはミラノに戻る。彼がまずしたいと望むのは、インテルの仲間たちと練習場で夕食をともにすることだろう。そして次が、彼らとの練習を再開することだ。「すごくしたいことが何か分かるかい？　走りたいんだ。とても単純だけど、ただ走りたいんだよ」。

――あの瞬間のことを説明してください。
「頭が割れたという感じはしなかった。すぐに恐いと感じたけどね。何が起きたのかがすぐに分かった。頭の中に穴ができたようだったから。すぐに手術するなって分かったよ」

――あのときに何を考えたのですか？
「最悪のことさ。『これから頭を開かれる。うまくいかなかったら？　オレの人生が変わったら、家族はどうする？　サッカーはまだオレの人生になるのか？』ってね」

――意識は失わなかったのですか？
「たぶん、１秒か２秒じゃないかな。頭をぶつけたのは覚えている。落ちたのは覚えていない。気づいたら倒れていたんだ」

――あのときまでに、何が恐いかと尋ねられていたら？
「娘に何かあったら恐いと答えていただろうね。でも１月６日、僕は娘のことを心配できなくなることが恐いと思った」

――死んでしまうのではないかという恐怖？
「そう呼ぶものかどうかは分からないけど、頭を開けるんなら、もう目が覚めないんじゃないかと考えるものさ」

「手術が終わってからは、うれしくてみんなに連絡し始めたんだ。ドクターたちがそれに気づいて、２日間携帯を返してくれなかったけどね。最初の晩は悪夢だったよ。１時間ごとに起こされて聞かれるんだ。『名前は？』『クリスティアン・キヴ』、『ここはどこ？』『ヴェローナ』、『この病院の名前は？』『知るわけないさ』、『試合結果は？』『１−０だよ、君らが言ったんじゃないか！』ってね」

――何に力を感じました？
「普通の人生を生きたいという意欲かな。不運の中で、僕はまだプレーできるという幸運を得たことに気がついた。僕の周りにいた人たちは、もっとひどかったんだ。ヴェローナの病院で意識があったのは僕だけだった。それから、たくさんの愛情を受け取ったよ。知らないファンが何百人も呼びかけてくれた。対戦したことのない選手たちや、一緒にやったことのない監督たちからもね」

――最も寂しかったのは？
「練習して、試合に備えなきゃって思いながら起きること。ピッチへ向かう前のアドレナリン。家やピネティーナ（練習場）での毎日、試合前の前泊、スタジアム。全部平凡で、繰り返しだなんて思っていたけど、本当につまらないのは、そういうつまらなさを感じられなくなることなんだって気づいたよ」