2009年3月19日付け主要紙朝刊に掲載された、イオン「反省」広告

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   小売り大手のイオンが「反省」しきりだ。2009年3月18日に岡田元也社長が「反省会見」を行い、翌日には主要紙の朝刊に「他店に比べて安くなかった」「お客へのサービスを怠っていた」、と自社を批判する全面広告を出した。顧客の取り込みを狙い、食品や衣料品など5100品目を順次値下げする。同日から2600品目の価格改定をしているイトーヨーカドーとの間で「値下げ合戦」が始まった。

「お客さまへのサービスを怠っていました」

イオンの価格は、他店にくらべて、決して安くはありませんでした」
イオンの売り場には、欲しいと思える商品が並んでいませんでした」
イオンは、お客さまへのサービスを、怠っていました」

   「イオンの反省」と題する全面広告が、日本経済新聞、産経新聞など主要紙の2009年3月19日付け朝刊に掲載された。

   「もう一度、お客さまが求める本当の低価格、売場、サービスを取り戻すことに全力を尽くしていきます」と締めくくっている。

   また、岡田元也社長は3月18日午後に記者会見を開き、

「今日はイオンの反省会でございます。お客様第一といいながら、我々が出遅れている」

と語った。

   広報担当者は、こう説明する。

「お客さまの生活防衛意識が高まり、厳しい目で商品を選ぶようになっています。今までにも値下げを行ってきましたが、この不況下で、本当に求められるサービスを提供できているか、と見直した時に、できていないと思いました」

   イオン全店売上高は、08年8月以降、前期比マイナスが続いている。11月が4.9%減の1418億円、12月が3.9%減の1514億円、09年1月が4.6%減の1796億円、2月が8.4%減の1326億円と推移。広報担当者は「我々もこれまでにない厳しい経済環境にあります」ともらしている。

数々の値下げ策を打ち出しているイトーヨーカドー

   現行5000品目展開しているプライベートブランド(PB)「ベストプライス by トップバリュ」のうち、34%にあたる1700品目を、ナショナルブランド商品(NB)についても、食品を中心に3400品目を安くする。値下げで顧客をつなぎとめる狙いだ。

   平均値下げ率は衣料品35%、食品20%、住居余暇関連35%。例えば、「伊藤園おーいお茶緑茶」(2000mL)は198円から168円に、「花王エコナクッキングオイル」(600g)は730円から488円に、「明治乳業北海道十勝ヨーグルト」(85g×4)は218円から148円に下げる、など。

   国内外から原料、商品を一括購入し、コストを削減するなどの方策で値下げを可能にした、と同社では説明している。

   イトーヨーカドーも、3月18日から衣料品や食料品など合計2600品目の価格を改定した。内訳は衣料品1500品目(平均値下げ率30%)、住まいの品1000品目(27%)、食料品100品目(15%)。最低1年間は値下げ価格を維持する。

   同社はこれまでも、衣料品、ランドセルなどの進学用品、寝具などを購入すると、最大30%をキャッシュバックするキャンペーンを09年2月28日から3月3日まで行うなど、数々の値下げ策を打ち出している。

   ただ、イオンも値下げを発表したことについては、

「他社と値下げ競争する気はありません。お客さまのニーズやマーケットの変化を見て、随時価格を見直していきます」

としている。

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