闘莉王の先制するも後半は押される時間帯が続いた<br>【photo by Kiminori SAWADA】

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 2010年南アフリカワールドカップを目指す上で、アジアカップという第一の目標を終えた日本代表は、次のアジア予選へ向けた第2章が8月22日カメルーン戦で始まった。

 個人技の得意な新顔の選手を先発に並べ、3トップ気味でスタートしたチームは移動の疲れや慣れない高温多湿という環境に苦しむカメルーン相手に、まずまずの戦いを見せた。そして、セットプレーから闘莉王の得点が決まり、1−0とリードすることもできた。

「前でブロックも上手く作れていたし、奪ってから早い攻撃もできていた。(田中)達也や(大久保)嘉人など、仕掛けられる選手がいるというのは、相手にとってもイヤだと思う。それにこちらとしても、前線でキープできる時間が増えるから、いろいろと攻撃の選択肢も広がっていく。ただボールを回しているだけでは、相手も怖くないだろうから」と阿部。

「前半の3トップは機能していて、サイドも上手く使えていた。今までの4−4−2のちょっとゆっくりしたゲームと違って、今回みたいにサイドからガツガツいくという。カメルーン相手にそこそこやれたので、よかったのかもしれない。しかし、その分中盤の人数が少なくなって、守備という面では、手薄になることもあった。3トップと言う形に慣れていないこともあるけれど、攻撃面ではよかったけれど、中盤での守備の面でどうしていくかということは考えなくちゃいけない」と遠藤は、リスクの多さについても話している。

 そして、後半、相手が2トップになったこともあり、日本は阿部が下がり3バックに変わる。1点を追いかけるカメルーンが積極的に攻めてきたこともあり、両サイドの選手もDFラインに押し込まれた日本は、DFラインとボランチの間に不用意なスペースを生み出してしまい、そこで起点を作られ、苦戦の時間が続いた。

「システム変更というのはいいことだと思うけれど、そうやって後ろの形が変わったときに、前線から修正するかっていうのが、今日見えた課題。どこでボールをとって、追い込んでいくのか、ということがはっきりしてなかった。そういうことも試合中にうまく修正できるようにならないといけないので、今後話し合っていきたい」と阿部が振り返る。

 鈴木は、2−0という結果にも笑顔がなかった。「2−0という結果は点数だけ見ればいい結果ですけど、点差ほどのゲームではなかったと思います。相手のプレッシャーだとかスピードに負けていた部分もあった。そういう中であっても、どういうポジションを取って、どこで数的優位を作るかということが上手くいっていなかった。もっと自分たちのサッカーができたはずだとは思うんですけど。今日の相手は、アジアカップとは相手の質がかなり違っている。2倍も3倍も上。そういうチームと戦う上で、どいういう対応をしなくちゃいけないのかっていうこと。実際の試合の中でどう戦い方を変化させていくのかっていうことを、もっとつめていかなくちゃはいけない」

 2−0という結果は悪くはないが、その内容はといえば、やはり物足りなさは否めない。新顔が多く、練習時間もなく組織としての戦いが出来なかったことも事実だ。同時に新しい武器、新しい可能性を感じさせてくれた試合でもあった。今後、新しいオプションをチームにいかになじませるかが鍵になってくるような気がする。

―― text by Noriko TERANO from Oita ――

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