20日(現地時間)、南米王者を決めるリベルタドーレス杯決勝第2戦が行われる。初戦はボカ・ジュニオールス(アルゼンチン)が、グレミオ(ブラジル)を3対0で下し、南米制覇へ王手をかけている。

 ボカを引っ張るのはアルゼンチン代表MFリケルメ(28)。一昨季のCLでビジャレアル(スペイン)をベスト4まで導いた勇姿も記憶に新しい。リケルメは第2戦を前に「単なるサッカーの試合にはならない。戦争だ」と南米王座戴冠に並々ならぬ執念を見せている。南米王者の肩書きを持って、再び欧州の舞台へ戻ることを目指しているようだ。

 リケルメの保有権は今もビジャレアルが持っており、もし来季移籍となればクラブ側は移籍金額を1800万ユーロ(約30億円)に設定するようだ。しかしリケルメは「ビジャレアルではもうプレーしない」と発言しており、リベルタドーレス杯終了後に移籍先探しが本格化することになる。

 そこで出てくるのが英雄マラドーナだ。マラドーナは「ボカは私の永遠のチーム」と公言して憚らないが、彼のセカンド・チョイスはつねにナポリだ。自身を世界的スーパースターと成らしめたクラブのことはつねに心にある。マラドーナは、後継者としてリケルメに来季セリエAに復帰するナポリでプレーしてほしい、と強く願っているらしい。

 ナポリ側としても補強の目玉としてビッグネーム獲得へやぶさかではない。そうでなければ、聖地であるサン・パオロ・スタジアムを埋める8万人の地元ファンが黙っていないだろう。実際は1000万ユーロ(約16億5000万円)程度になるだろうと言われている移籍金額やリケルメが希望する年俸500万ユーロ(約8億円強)は、映画産業で財を成すデ・ラウレンティス会長にとっても頭痛の種になるかもしれないが、イタリアを代表する配給元として映画制作を一本諦めれば、捻出できない額でもない。

 ナポリの街へ再びアルゼンチンのファンタジスタは降臨するのか。リベルタドーレス杯の結果と合わせて、そちらの行方も楽しみだ。

弓削高志