北米産牛肉の輸入再開決定について会見する宮腰光寛副大臣(撮影:宗宮隆浩)

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政府は12日、牛海綿状脳症(BSE)問題で輸入を停止していた米国・カナダ産牛肉の輸入再開を決定した。食品安全委員会の答申を受け、生後20カ月以内の牛であること、脳やせき髄などの特定危険部位(SRM)の除去などの輸入条件について両国政府と合意した。北米産牛肉の輸入は約2年ぶりで、両国で施設認定など必要手続きが終了次第、早ければ年内にも、第一便が届く見込み。

 農林水産省と厚生労働省は、両国に対して、SRM除去やなどの輸入プログラムの順守を要請。両省は、13日から担当官を両国に派遣し、農場での管理体制や作業手順など、輸入条件が適切に守られているかなどをチェックする。問題があった場合は改善要求を出す。

 食品安全委の答申では、米国、カナダからの輸入条件の順守は、日本政府の責任で確保するべきとし、両国がそれを守らない場合は輸入停止するべき、との付帯事項が出された。同日、会見した農水省の宮腰光寛副大臣は「両国から輸入条件を『受け入れる』との回答を得ている。もし重大な違反が繰り返されるなら輸入停止も含め適切に対応する」と述べた。

 また、パブリックコメントなどで国民から輸入再開に不安の声が多い中で再開に踏み切ったことについて「食品安全委では10回にわたるプリオン専門調査会の審議を行い、また(国民の意見を募集する)パブリックコメントの手続きなどを経て、今回の答申が行なわれた。科学的な議論が尽くされた結果と考えている」と答えた。

 両省は、安全性などに関して国民の理解を得るために、15日から全国9カ所で説明会を開催し、査察の結果も随時公表するとしている。また、消費者が選択できるように、原産地表示を義務化している生鮮肉での表示を徹底する。加工品も、味付けカルビなどの加工度の低いものに、来年10月からの表示を義務付ける。外食産業に対しては、今年7月策定のガイドラインに基き、業界による自主的な表示を促していく。【了】

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12月12日動画ニュース