阪神甲子園球場

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沖学園(南福岡)の選手に起きたアクシンデントに、対戦相手の大阪桐蔭(北大阪)の選手がいち早く駆けつけた。足を痛めた森島渉内野手に、ベンチから水と氷嚢(ひょうのう)を持って水分補給とアイシングにあたったのだ。

敵味方の関係を超えた夏の甲子園(第100回全国高校野球選手権)での一幕は、インターネット上でも注目を集めた。

一塁コーチは丁寧にお辞儀

夏の甲子園2回戦・沖学園−大阪桐蔭戦は2018年8月13日に開催。4−10と6点ビハインドで迎えた最終9回表の沖学園の攻撃は、先頭の森島がセンター前安打。全力疾走で出塁したが、左足に異変が生じた。

足をつった様子でストレッチをし、一塁コーチの小泉成亜と状態を確認していると、大阪桐蔭の石川瑞貴一塁手が自チームのある一塁側ベンチに向かって手招き。すると、大阪桐蔭のベンチから俵頭(ひょうどう)夏冴・青木大地両選手が水と氷嚢を持って急いで駆けつけ、相手選手の森島に差しだした。

しばらくして森島が顔を向けて会釈すると、2人は来た時と同じようにダッシュでベンチに戻っていった。一塁コーチの小泉選手はヘルメットを外して2人に礼をし、その後一塁側ベンチにも体を向け、深くお辞儀した。森島には代走・田川翔大郎が送られ、ベンチに下がった。

猛暑が続く甲子園。試合終盤で疲労も溜まる中、敵と味方の垣根を越えた気遣いは、インターネット上でも注目された。ツイッターでは、

「スポーツを越えた友情と言うなんかウルッとくるな」
「あーゆーの見るとほっこりする 当たり前のことだけど行動力が違う」
「大阪桐蔭と沖学園のスポーツマンシップに感動! 足がつった沖学園の選手に走って水と氷持っていく大阪桐蔭の選手。深々と頭を下げる沖学園の選手。どちらも素晴らしい」

といった声が相次いでいる。

1回戦では北照の選手を助けた沖学園

6日の1回戦・沖学園−北照(南北海道)戦(4−2)を思い出す人も多かった。9回表、北照の岡崎翔太外野手が守備中に足をつって倒れた際、沖学園の三塁コーチ・上園凱斗がコールドスプレーを、ベンチの高塚皓嗣と高原敦彦が水を、それぞれ持って駆け付けた。球場からは万雷の拍手。大阪桐蔭戦では、自分達も支えられる形となった。

沖学園は13日、春夏連覇を狙う優勝候補の大阪桐蔭から2回表に1点先制。その後逆転を許すも、2度追いついた。5回表には森島、8回表には阿部剛大内野手が、大会屈指の右腕・根尾昂からそれぞれソロ本塁打を放ち、最終的に4-10で敗れたものの王者を苦しめる熱戦を演じた。鬼塚佳幸監督は「力の違いを見せられました」とするも、「こちらも全力は出せました」と語った。