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民放キー局のワイドショーが、連日のように日本ボクシング連盟の山根明会長を追いかけるという熱の入れようをみせている。

「広島・原爆の日」の2018年8月6日も、それは同じ。広島市で開かれた平和記念式典がNHKで中継される中、民放各局は「山根会長」報道などに終始。こうした報道はツイッターで賛否を巻き起こした。

朝ドラ繰り下げたNHK

広島は8月6日、73度目の原爆忌を迎えた。広島市の平和記念公園では朝、平和記念式典が開かれ、被爆者や遺族ら約5万人が参列。松井一実市長は平和宣言で、核兵器の廃絶に向けた取り組みを続けるよう訴えた。

全国ネットで式典のもようを中継したのは、NHK総合だ。通常の番組編成を変更して8時、中継特番の放送を開始した。原爆を投下した時刻の15分、遺族代表らによる「平和の鐘」の音が鳴り響くと、1分間の黙とう。安倍晋三首相のあいさつも放映した。

中継を終えたのは、8時38分。通常より38分繰り下げて朝ドラ「半分、青い。」の放送を開始した。その後、夏の全国高校野球の中継に移った。

一方その頃、民放各局は通常運転でワイドショー番組を放送していた。TBS系は「ビビット」、テレビ朝日系は「モーニングショー」、フジテレビ系は「とくダネ!」、日本テレビ系は「スッキリ」だ。

ただ、平和記念式典は、いずれのワイドショー番組にも映らなかった。広島「原爆の日」に関連するニュース自体、放送していなかったのだ。黙とうの8時15分頃、それぞれ何をしていたのか。局ごとにまとめると、以下のようになる。

TBS:西日本豪雨1か月の特集
テレビ朝日:台風13号の列島直撃
フジテレビ:ボクシング連盟・山根会長をめぐる報道
日本テレビ:ボクシング連盟・山根会長をめぐる報道
(テレビ東京:韓国ドラマ)

山根会長ニュースに「1時間1分」

約42分間――。フジ「とくダネ」が山根会長の「黒い交際」報道にかけた時間だ。日テレ「スッキリ」も冒頭から約34分間、山根会長「一色」だった。

さらに、TBS「ビビット」も約28分間「カリスマ山根会長に国内外から反論」などと報じた。テレ朝「モーニングショー」は山根会長の「パワハラ音声」を独自入手したとして、約1時間1分とたっぷり報じた。

こうしてみると、各局が平和記念式典より「旬」のニュースに重点を置いていたことは明らかだ。なかでも、「山根会長」報道にかけた時間は突出していた。

視聴者にも強い印象を残したようで、ツイッターなどインターネット上には

「広島の原爆投下よりも山根会長の方がそんなに大事なんですか??」
「広島平和記念式典の中継はNHKだけ。西日本の豪雨被害についてならまだしも、山根会長とかどうでもいいわ」
「ありえない。朝のワイドショーが全て山根会長の件。今日って原爆投下された日なんですけど...」

と違和感を示すような声が続出。ただ一方、「東京の民放が式典を中継しないのは視聴率がとれないと思ってるからだよ。民放なんてそんなもの」との声も寄せられていた。