「同友会起業フォーラム」のシンポジウムで講師を務めた気鋭の4社長=左から荒川亨・ACCESS社長、新浪剛史・ローソン社長、松井道夫・松井証券社長、三木谷浩史・楽天社長(撮影:吉川忠行)

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経済同友会は7日夜、東京都千代田区の東商ホールで、起業家を目指す人たちに挑戦の場を与える支援事業「同友会起業フォーラム」のシンポジウムを開いた。会場には学生や若手のビジネスマンなど600人が参加し、松井道夫・松井証券<8628>社長、荒川亨・ACCESS<4813>社長、新浪剛史・ローソン<2651>社長、三木谷浩史・楽天<4755>社長の4人それぞれの起業論を熱心に聞き入った。

 東京電機大学在学中にコンピューターのプログラミングで起業したACCESSの荒川氏は「『マイコンオタク』だったので、あまり深く考えずに、のめり込んでしまった」と設立当初を振り返り、「若い人たちはあまりリスクを考えずに始めちゃってもいい」と呼びかけた。

 また、松井氏が日本郵船、新浪氏が三菱商事、三木谷氏が旧日本興業銀行と、荒川氏以外の3人は大企業でサラリーマンを経験した経営者。大企業を飛び出して起業したことについて、新浪氏が「自分で決めて、責任もすべて自分なので楽しい。大企業の時は誰かが責任をとってくれると思っていた」、三木谷氏が「いろんな意味で新しい価値を作り出して、社会に貢献するのは充実感がある」と“やりがい”を強調する一方、松井氏は「(日本郵船時代は)不満はあったが不安はなかった。社長になって不満はなくなったが、不安感は毎日どんどん膨らんでいく。失敗する前に早く辞めて画家になりたい」と話し、会場を沸かせた。

 TBS株の大量取得騒動で注目されている三木谷氏は、関連するコメントはせず、経営に対する持論を語った。「日本ではお金も、経営力も支援してくれない。楽天を立ち上げたときも『そんなのうまくいかない』と言われて、誰も出資してくれなかった」と、自ら全国を営業で回った起業当時を振り返り、「汗だくになりながら姫路の田舎まで行って、米ハーバードビジネススクール(HBS)、興銀出身と書いたのを見せると、結構成功確率は高い」と“三木谷流”の営業術を披露。同じくHBS出身の新浪氏に「営業に行って断られたのですよ」と三木谷氏が話すと、新浪氏が「こんな大きくなるなら1株ぐらい買っておけば」とやりとりする場面もあった。

 また、三木谷氏は、起業家支援が手厚い米国のベンチャーでIPO(新規株式公開)よりも売却を選択する事例が増えていることを紹介して、「日本の大企業では、経営陣と会社を混同している。IPOも簡単に考えすぎているが、これからは非常に難しくなる。上場するなら売却した方がよくなる」と強調。起業家の資質として「社会に奉仕する精神などの『マインド』と、対人能力など『スキル』、『ナレッジ』」とまとめた。

 今回のシンポを行った「同友会起業フォーラム」では、具体的なビジネスプランを持つ起業家10人を公募で選び、06年4月から夏まで毎月1回のペースで、同友会会員の経営者からの指導などを受けさせる。講師は、同会代表幹事の北城恪太郎・日本IBM会長や岩田彰一郎・アスクル社長、松井社長、荒川社長らが担当する。問い合わせは、経済同友会事務局・同フォーラム担当(電話03-3284-0537)まで。【了】

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