羽生結弦【写真:Getty Images】

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羽生が「オリンピックチャンネル」のインタビューで“4回転狂騒曲”への思いを語った

 平昌五輪のフィギュアスケート男子で連覇を達成した羽生結弦(ANA)。66年ぶりとなる快挙で五輪史に伝説を残した。世界選手権(ミラノ)は右足首の治療などのために欠場。新たなシーズンへ向けて英気を養っているが、IOC運営の五輪専門サイト「オリンピックチャンネル」のインタビューに答え、「プログラムのすべてが4回転なら誰も勝てなくなる」と“4回転時代”の到来について自身の思いを語っている。

 66年ぶりとなる五輪連覇の偉業を達成。国民栄誉賞受賞の声も上がるなど、すでにレジェンドの域に到達した羽生が、「オリンピックチャンネル」のインタビューで、4回転ジャンプへの思いを激白している。

 平昌五輪で史上初の5度の4回転を決めた“4回転の貴公子”ネイサン・チェン(米国)は世界選手権に出場する。ほかにも、宇野昌磨(トヨタ自動車)や金博洋(中国)らがミラノで次々と4回転を成功させるだろう。時代はまさに4回転全盛。そんな中で同サイトは羽生に対し、「自身不在の間にライバルたちが“4回転狂”になるのを憂いているだろうか?」と投げかけている。

 羽生は、答えは複雑だと前置きした上でこう続けた。

「4回転はたくさんあった方が良いに決まっている。たくさんの種類を飛べて、プログラムの中で、全てが4回転だったらそれは誰も勝てなくなると思います」

 同サイトのインタビュアーに対し、もしすべてのジャンプを4回転で固め、それをすべて完璧に決められるなら……。誰にも負けないだろうと強調している。

一方で「人間が急激に進化したわけじゃない。急に4回転をたくさん飛べるとは思わない」と現状を冷静に分析

 その一方でこうも話している。

「ただそれが可能かどうかはわかりません。もちろん僕たちは人間ですし、スケート靴の進化、ブレードの進化はあると思う。ただ人間が急激に進化しているわけではないので、急に4回転がたくさん飛べるとも思っていません」

「(平昌五輪で)表彰台に上がったスケーターたちは2種類の4回転しか飛んでいません。現時点では、そのほうが比較的容易だと考えられています」

 こう冷静に分析している。空前のハイレベルジャンプ時代に突入するのは間違いないが、成功度が伴わなければ挑戦するリスクが高い。だが、羽生は2016年に4回転ループを世界で初めて成功させ、2017年には6つのジャンプの中で2番目に難易度の4回転ルッツも決めるなど、すでに4種類の4回転に成功。ジャンプへの意識は非常に高いものがある。

 そして五輪後に、自身の次の目標として設定しているのが、まだ誰も成し遂げていない4回転アクセルの成功だ。コーチのブライアン・オーサー氏は、オリンピックチャンネルスペイン版のインタビューで「実現させることができる人物がいるとしたら、それはユヅだろう」と成功に太鼓判を押していた。

 ミラノでのチェンや、宇野、金らの演技も目が離せないところだが、羽生が復帰した後、どんなプログラムを組むのかにも注目が集まっている。歴史に名を刻み続ける絶対王者はどんな姿を見せてくれるのだろうか。(THE ANSWER編集部)