京王電鉄が2018年2月22日より運行する同社初の座席指定列車「京王ライナー」について、詳細を発表。平日、土休日とも下り列車が10本運転され、最初の停車駅は府中、京王永山です。

平日、土休日とも1日10本の運行

 京王電鉄は2018年1月24日(水)、2月22日(木)のダイヤ改正より新たに運転を開始する座席指定列車の概要を発表しました。


京王プラザホテル新宿で「2018年 春 座席指定列車の導入 ダイヤ改正 記者発表会」が行われた(2018年1月24日、恵 知仁撮影)。

 列車愛称は「京王ライナー」。従来の特急より上位となる最速種別の列車として走り、運行区間は新宿駅から京王八王子駅、橋本駅。途中停車駅は府中、分倍河原、聖蹟桜ヶ丘、高幡不動、北野、京王永山、京王多摩センター、南大沢です。長距離客向けの列車であることからその利便性を考え、府中、京王永山を最初の停車駅にしたといいます。


座席指定列車「京王ライナー」に使用される京王5000系電車(2017年7月、恵 知仁撮影)。

 運行は平日・土休日とも夜間時間帯を中心に、京王八王子行き5本、橋本行き5本の合計1日10本。平日は京王八王子行きが20時00分から、橋本行きが20時30分からおおよそ1時間に1本ずつの運行で、最終はそれぞれ0時00分、0時20分発。土休日は17時台から21時台までの発車になります。

 所要時間は、新宿駅から京王八王子駅までが最速35分、京王多摩センター駅までが最速24分。座席指定料金は一律400円で、チケットレスサービスも用意されます。府中〜京王八王子間、京王永山〜橋本間のみ乗車する場合、座席指定料金は不要です。

「京王ライナー」朝も走る? さらなる展開の可能性

 使用する車両は、座席の向きを窓と平行なロングシートから、2人掛けの前向きクロスシートに変えられる5000系電車。各座席にコンセントが用意されているほか、無料Wi-Fi、空気清浄機も設置されています。


クロスシート状態にした5000系電車の車内(2017年7月、恵 知仁撮影)。

 5000系電車は、この座席指定列車の運行に備え京王電鉄が製造した車両で、2017年9月29日より、ロングシート状態でひとあし早く一般の列車で運行されていました。5000系は、このようにロングシートで一般列車、帰宅時間帯はクロスシートにして有料座席指定列車と、状況に応じて“一人二役”になるのが特徴。また京王電鉄が座席指定列車を運行するのは、今回が初です。

 西武鉄道「S-TRAIN」や東武鉄道「TJライナー」など、通勤通学時における着席サービス提供をおもな目的とする座席指定列車の運行が増え、この2018年3月には小田急電鉄が複々線化(道路でいえば車線増加)で所要時間の短縮や混雑緩和を実現する予定であるなど、人口が減っていくなか「選ばれるための路線価値向上」に首都圏の私鉄がしのぎを削る現在。新列車「京王ライナー」が走り出します。

 京王電鉄の沿線には、東京有数の観光地である高尾山も存在。京王電鉄によると「初めてなのでまず夜の下りから運行する」とのことなので、休日は行楽用として走る、また朝の上りでも走るなど、京王電鉄の座席指定列車は今後、さらなる展開も考えられます。なお5000系電車は、京王線と直通運転を行っている都営地下鉄新宿線も走行可能です。

【写真】「京王ライナー」のロゴデザイン


スピード感のあるデザインにしたという「京王ライナー」のロゴ(2018年1月24日、恵 知仁撮影)。