高学歴同士の「同類婚」増加 子育て世帯の約18%は両親ともに大学・大学院卒
労働政策研究・研修機構は9月14日、「第4回子育て世帯全国調査」を発表した。
調査は、子育て世帯の生活状況を把握し、必要な公的支援のあり方を検討するために行われ、2011年、2012年、2014年に続き、今回で4回目となる。2016年11月〜12月に、18歳未満の子どもがいる4000世帯を無作為抽出し、2159世帯から回答を得た。
中卒同士のカップルは調査開始以来初めて1%を割り込む
子育て世帯の平均税込年収は約683万円で、2014年時より約27万円増加した。平均年収は2011年の第1回目調査時点(約597万円)から毎年増加している。税込収入が300万円未満の低収入世帯は、調査以来もっとも低い8.6%だった。母親の正社員率も前回調査時より約3ポイント上昇して24.6%になっていて、雇用環境の改善が功を奏していると考えられる。
しかし、収入が増加しても消費の拡大には繋がっていない。食費や光熱費等に支出する家計費の月額平均は、いずれも前回調査より減少した。子育て世帯全体では前より1万6000円減って26万5000円、ふたり親世帯では1万9000円減って27万5000円、ひとり親世帯は4000円減って18万円だった。
代わりに、平均貯蓄率はふたり親世帯で4.5%、ひとり親世帯で3%上昇している。収入が増えても財布の紐を緩ませず、堅実な生活を送る子育て世帯が多いようだ。
結婚と学歴の関係を見ると、高学歴同士ならびに低学歴同士のいわゆる「同類婚」は、日本の高学歴層でも増えていると分かった。夫婦の最終学歴を「中学校」「高校」「短大・高専他」「大学・大学院」の4つに分類して比較すると、夫婦ともに「大学・大学院」を卒業している高学歴カップルは17.9%で、初回調査時の12.9%より5ポイント増加した。
両親共に中卒もしくは高卒のカップルは、初回調査時よりいずれも減少しており、中卒同士のカップルは0.7%と初めて1%を切った。
世帯収入が高いほど妻の幸福度は高くなる傾向
高所得の男性の妻ほど無業率が高くなる傾向は、高収入男性と高収入女性の同類婚が増えた影響を受け、近年見られなくなっている。初回調査時の2011年は、夫の所得が上位25%の層の妻は、その半分が専業主婦だったが、今回の調査では、同層の無業率は31.1%まで低下していた。
調査では女性に「この1年を振り返って、あなたは幸せでしたか」という質問を投げかけ、「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点として評価してもらい、幸福度を測定した。全体の56%が8点以上を付け、強い幸福状態にあると自認していたが、収入階級別に見ると、収入が上がるほど幸福度が高まる傾向にあり、「貧困層」と「中高収入層以上」では、24.2ポイントもの差が開いていた。
仕事と就業を両立するために拡充してほしい支援策は、「児童手当の増額」、「乳幼児医療助成期間の延長」など、金銭的支援が最も多く支持された。このほか、休日保育・延長保育や病時・病後児保育制度の充実、保育所の増設など、保育サービスの充実を望む声も多く挙がっていた。