マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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四球で出塁&二盗、現地解説者「私はイチローイングと呼ぶことに決めました」

 マーリンズイチロー外野手が13日(日本時間14日)の本拠地ロッキーズ戦で7回1死から代打で登場。9球粘って四球で出塁し、電光石火の二盗を決めると、捕手の送球が逸れる間に三塁を陥れた。そのレジェンドに地元メディアも脱帽。「イチローイング(イチローする)」という“新語”で、41歳のスピードスターを絶賛している。

 3点リードで迎えた7回、イチローが素晴らしいスピードを見せた。

 先発レートスの代打で登場。3ボール1ストライクから4球連続でファウルで粘った。マーリンズ・パークのイチローコールの大合唱の中、四球を選んで出塁すると、続くゴードンの打席で仕掛けた。

 中継ぎブラウンの初球にスタート。その場面を、現地で中継した地元テレビ局「FOXスポーツ・フロリダ」の実況は「(ゴードン)空振り。イチローは盗塁に成功です。送球はセンターに逸れます。イチローはサードに向かいます」とレポート。一気に三塁まで到達したイチローに、観衆は立ち上がり、拍手を送った。

 スタンディングオベーションの中、解説者のマーリンズOB、プレストン・ウィルソン元外野手は興奮気味に絶叫した。

「51番、どんなことを見せてくれるんだ! 私はイチローイング(ichiroing)と呼ぶことに決めました。それしかない。四球を選んで、盗塁する。これぞ、イチローイングですね」

「41歳ですよ。見ましたか?」の問いかけに「イチローは老けません」

「41歳ですよ。見ましたか?」。実況のその言葉に対し、「イチローは老けません。イチローは加齢しませんね」とイチローよりも1歳年下の解説者は脱帽した。

 メジャー15年目を迎えたイチローは、ついにアメリカで「動詞」に。“新語”の意味は、不惑を過ぎてもなお選球眼と圧倒的なスピードを誇る、といったところか。ファウルで粘り出塁した後、一気に三塁に到達するイチローの姿は観客や専門家の目に痛快に映ったようだ。

「(イチローの動詞化に)日本では狂喜乱舞することでしょう。自分の名前が動詞になるのは、スーパースターか殿堂入り選手でしょうか」

 実況はこう続けた。

 アスリートの動詞化は、サッカーの世界で2012年12月に起きたのが記憶に新しい。パリ・サンジェルマンのスウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチがフランスリーグで圧倒的なプレーを続け、フランス国内で「zlatanera(ズラタンする)」という言葉が生まれ、母国で流行。スウェーデン国内でも新語として承認されている。

 イチローは今季5盗塁でメジャー通算492盗塁に。これは現役メジャートップの盗塁数だ。

 500盗塁まであと「8」。衰え知らずのスピードで観衆を沸かせる背番号51はまさに「イチローイング」を体現している。