東京・南青山にある行列の絶えない中華風家庭料理店「ふーみん」。8年前、70歳で店の経営から離れた斉風瑞さんは、混乱の終戦翌年に東京で生まれた。統治時代の台湾で教育を受けた父母は、日本に強い憧れをもって来日した。誰もが生きのびるのが困難な状況下、異国で懸命に働き、自分たちを飢えさせずに育ててくれた母の姿を見て、小学校6年生で「私は『こういうお店を持っています』といえる仕事をみつけよう」と心に決めた――。