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公式な発表だ:Flashは失速し、HTML5の勢いは止まらない。

サービス開始から10年、YouTubeは1月27日、Adobe Flashをデフォルト・プレイヤーの座から引きずり下ろした。それに代わって、同サイトは延々と出てくるネコの動画や、テイラー・スウィフトの「歌ってみた」、映画の予告編などを再生するのにHTML5をデフォルトに設定すると発表した。

数年前にはその動きは考えられなかったことだろう。2010年、アドビはオンライン動画の約75%がFlashを使用していることを誇っていた。しかし、昨年の時点でHTML5が80%以上のシェアとなり、その人気は強固になったようだ。

YouTubeにとってこの変更は自然なことと言えそうだ。5年前、アドビがトップの座を誇っていた頃、同サイトはHTML5をオプションとして提供し始め、今回の変更の基礎を築いた。実際のところ、ほとんどのユーザーにはおそらく両者の違いがわからないだろう。しかしこの変更はオンライン動画のあり方を如実に示している。オンラインビデオの進化と、そこでのHTML5の地位だ。

Flashはいかにして衰え始めたか

アップルは、市場に新たなテクノロジーを常にもたらしてきたわけではない。しかし旧製品を市場から消し去ることには労を惜しまない企業である。フロッピーディスク、CD、FireWire、無駄な包装などがアップルの製品から姿を消した。アップルは他にも数多くのターゲットを設定してきたが、Flashはその中でも特に有名だった。

共同設立者スティーブ・ジョブズがFlashを嫌ったため、iPhoneはFlashをサポートしなかった。その後アドビはiPadにFlashのサポートがないことに意義を唱え、ジョブズはさらに一歩進んでFlashのテクノロジーに欠陥があると反論した。

大画面のデバイスは娯楽を楽しむために設計されているが、少なくともアドビの基準ではそれらには対応できなかった。Flashがオープンでないこと、パフォーマンスの貧弱さ、バッテリー消費の大きさ、タッチスクリーンに対応していないことやその他の問題を挙げてジョブズは説明した。

我々はFlashがモバイル機器、それもあらゆるモバイル機器で良好なパフォーマンスを示すよう、ここ数年間アドビに繰り返し求めてきました。それは未だ実現していません。アドビは2009年前半にスマートフォンへFlashの提供を始めると公式に発表していました。それが2009年後半になり、さらに2010年前半にずれこみ、現在は2010年後半になると言っています。いずれは提供されると思いますが、待たなくてよかったとすら思っています。望み通りのパフォーマンスを示してくれるかも分からないのですから。

アップルが約4,000万台のiPhoneと約1,500万台の初代iPadを販売したのは2010年のことだった。タブレット端末の勢いは最近失速してきているが、当時は人気が出はじめ、成長が見込まれていた。開発者はそのような大きなユーザーベースを見逃すはずもなく、その結果としてHTML5周辺の動きが加速することとなった。

結局のところ選択肢などなかったのだ。翌年、アドビはFlashのモバイル開発をやめ、ついにHTML5へと舵を切った。

テレビのストリーム配信で人気になる

アドビのマルチメディア・テクノロジーが時代遅れである一方、HTML5はあらゆるデバイス上で動作し、「1回だけ書き込み、どこにでも配布可能」という、現在主流のトレンドに適っている。あらゆる開発者はHTML5に順応でき、ビデオがテレビ―ほとんどのユーザーの生活で最も大きな画面―だけでなく、コンピュータ、スマートフォン、タブレットで再生するのを確かめることができる。

ストリーミングTVは、YouTubeにとって非常に興味深い分野だ。リビングで使う製品はYouTube対応のものが増え、現在では対応オプションがなければ不十分なほどだ。グーグルは2006年に16億5000万ドルでYouTubeを買収したが、その重要性が増すということを知っていたのだろう。当時知らなかったとしても、今は確実に知っているはずだ。グーグルの今までで最も成功したテレビ用製品、Chromecastが2013年に開始した際にはYouTube、Netflix、2つのGoogle Playメディアサービスしか提供していなかった。しかし、アマゾンの電化製品ベストセラーのトップに急上昇するにはそれで十分だった。

そのころから、HTML5がテレビ用アプリ開発に適していることが明らかになり始めた。

異なるアプローチは開発を複雑にするとアプリメーカーが証明してきた。例えばRokuは、自社独自のスクリプト言語BrightStarを使用している。しばらくの間、テレビやゲーム機器メーカーは独自の言語を使用するとみられていた。そうなればアプリ開発は、非常に多くの異なるシステムに対応するため、醜い開発体制がしかれることになったはずだ。幸運にも最大のスマートテレビとストリーミング・セットトップ・プラットフォーム―サムスン、LG、Opera TVやその他(Rokuは異なる)を含む―はHTML5のもとに再結集することになった。

言い換えれば、テレビストリーミング用アプリはウェブアプリと同等の影響力を持つまでになった。YouTubeがFlashからHTML5にデフォルト設定を変更したのはそれを直接的に表している。

Flashが完全に死んだというわけではない。ブラウザゲームでは評判がいいし、HTML5に比べればなおさらそのようだ。後者はアニメーションや双方向性インタラクションを単独で扱うことはできないので、CSS3やJavascriptのような他のツールを使う必要がある。しかしビデオとなれば、どちらに分があるかは明らかだ。その事実は、数多くあるHTML5が優れている点のたった一つを述べたに過ぎない。

新興成長市場において、開発者のHTML5への関心は急上昇した。南アジア、南米、中東やアフリカのような地域では、HTML5 はiOSよりも好評を博している。つまりアップルが人気を後押ししたテクノロジーがアップルに挑戦しているということだ。

トップ画像提供:Gilbert Gottfried(YouTubeより)

Adriana Lee
[原文]