イメージとは違うオープン・ソースの実情
ソフトウェアのインフラには無くてはならないが。アプリケーションには?
時に、オープンソースは粗悪であるという、見当違いで無視できない調査結果を目にすることがある。あるいは理解が難しすぎて、ニュースによってオープンソースについての理解が大きく異なることも確かだ。
Ponemon Instituteが行ったテクノロジー専門家1400人への調査でも同様だ。いくつかの回答によると、大企業はオープンソースを受け入れるのに「慎重」で「時間がかかる」という。他方で、同じデータを見ると、オープンソースに対して「概して好意的」な回答もある(この調査はZimbraの後援による。同社はオープンソースのメッセージングとコラボレーション・ソフトウェアを提供している)。
実際にはどちらも正しい。なぜなら、大規模な組織が利用する場合、オープンソースは難しくも易しくもあるからだ。
オープンソースの利用者・用途は様々
オープンソースはここ10年間で人気の的となった。Clouderaのマイク・オルソンは、「過去10年間に、主要なプラットフォーム・レベルのソフトウェア・インフラは、クローズドソースではまったく現れていません」と断言すらしている。インフラに関してはオープンソースがスタンダードとなっているわけだ。Hadoop、MongoDB、そしてMySQLからSparkに至るまで、そのどれもがオープンソースなのだ。
同時に、Ponemonの調査ではこのような統計が明らかになっている。米国企業で利用されているビジネス・アプリケーションのオープンソース率は平均30%だが、ヨーロッパでは平均25%となっている。一方、コマーシャル・オープンソース・アプリケーションは過去10年間で目覚ましい進歩を遂げた。開発がオープンソースで行われた理由もまた驚くべきものだ。
- 米国のIT専門家の74%がコマーシャル・オープンソース・ソフトウェアは持続性とコントロールの点でよりよいと回答。
- 米国のIT専門家の66%がコマーシャル・オープンソース・ソフトウェアはバグが少ないと感じている。また、63%がプロプライエタリ・ソフトウェアに比べてクオリティも上がるだろうと回答。
- 米国、ヨーロッパ、中東、アフリカのIT専門家によると、低コストである点はオープンソース・ソフトウェアを差別化する主要なポイントではもはやない。さらに言うと、ただ単にコスト面よりもビジネスの継続性、コントロール、クオリティなどを重視しているわけでもない。IT専門家は、あらゆる点においてプロプライエタリ・ソフトウェアよりも優れていると考えている。
どれも素晴らしいことだが、だからといって実際にオープンソースが今すぐビジネス・アプリケーションを支配するというわけではない。(この調査の焦点である)メッセージングとコラボレーション・ソリューションを選ぶにあたって、結局のところ65%が「利用しやすさ」を主な検討事項としていることが示されている。
だが、これまで述べたように、利用しやすさのみがオープンソースの力ではない。
ソフトウェア開発を容易に
オープンソースには利用しやすさを上回る他の利点がある。柔軟性、コスト、コントロールなどの面から企業のインフラでオープンソースが取り入れられている。ガートナーのアナリスト、アレキサンダー・リンデンは、独自の分析技術を提供する企業がどんなに努力しても「革新的なデータ・サイエンティストの多くは、高度な分析データを蓄積するにあたり、オープンソースのコンポーネント(特にPythonとR)を好みます」と語っている。
だが、このような人々はかなりのギークだということも考慮する必要がある。先月の私の記事のとおり、テクノロジーの複雑さが原因で、およそ70%の企業ではビッグデータを扱う十分な体制が整っていない。適切なテクノロジーの知識を身につけた、本物のデータ・サイエンティストへ熱心に投資することのできる企業にとっては、ビッグデータは重要で競争力のある差別化要素となりつつある。
だがどの企業もそういう状況にあるわけではない。
だが、それを乗り越えてこそ最新のビッグデータ・テクノロジーを利用できるのだ。高度なパフォーマンス、(十分な)利用しやすさ、そして多くの場合より安価であることから、広く利用されているオープンソース・テクノロジーは他にも多く存在する。Linux、Drupal、Nginxなどのようなオープンソース・テクノロジーが、無数の企業でその役目を果たしている。
しかし、その価値を理解し採用・運用しているのは経営者ではなく、技術者なのだ。
これまでも、そしてこれからもこの状況は変わらないだろう。その結果、「オープンソース企業」が、オープンソースであること(洗練されていることやパッケージなど)よりも付加価値に重点を置き、オープンソースを売りにしなくなるとしても不思議ではない。
オープンソースは企業とって見逃すことができないものとなっている。オープンソース・アプリケーションの採用は、それを評価するにもオープンソースの知識が必要な究極のやり方と言えるだろう。
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Matt Asay
[原文]