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もしスマホ=財布であっても警官に渡すべきなのか?

スマートフォンは、コミュニケーションの道具から玄関の鍵、照明のスイッチ、リモコン、クレジットカードにまでなり、今や運転免許証にもなろうとしている。少なくともアイオワ州では。

Des Moines Registerによると、アイオワ州運輸局は、来年から無料モバイルアプリを利用するデジタル運転免許証の提供を開始する。デジタル運転免許証は、現在アイオワ州民の財布の中にある免許証と同じ法的有効性を持ち、しかもはるかにカッコいい。画面上で証明写真が回転表示される機能を持つのだ。

今や人々はスマホをあらゆることに活用しており、運転免許証もそこに入れておけばとても便利になることだろう。だが、利点だけでなく幾つかの欠点も存在する。適切な措置をとらなければ、このデジタル運転免許証は、恐怖のシナリオへとあなたを誘うことになるだろう。

アイデンティティ・クライシス

まだ詳細は不明だが、アイオワ州運輸局長のポール・トロンビーノはそのソフトウェアを安全性の高い「身分証保管アプリ」だと説明している。ユーザーはデジタル身分証を表示させる為に暗証番号の入力を要求されるとのことだ。

警官は、交通検問や州内の空港検査窓口で、デジタル運転免許証を正式な身分証明書類として扱うことになる。

このプログラムは義務として強制されるものではない。もし州民がGIF形式に似た証明写真付きの新免許証はいらないと判断すれば、既存の免許証を使い続けてもいい。彼らがそうするに十分な理由もあるのだ。

政府主導のテクノロジー導入はおおむねスムーズには行かないうえに、身分証明と言う事案には高いリスクが伴う。トロンビーノはアプリのセキュリティについて自信を持っているようだ。しかしこのアプリは本質的にハッキングに対し無敵で、デジタル情報の不正改ざんや意図的な偽造を防ぐ厳重な方法を備えていなければならない。

プライバシーに関して

ある厄介な問題、つまり人々が警官にスマホを渡す可能性も考えなければならない。昨年夏に最高裁が令状無しでの携帯電話内の捜索(カナダを除く)を禁止する判断を下している。しかし警官に手渡す、という行為が法的に捜索に対する同意として成り立つかは明確になっていない。

アイオワ州運輸局戦略的コミュニケーション部長のアンドレア・ヘンリーは、CNETに対し、同部署がプライバシーに関する懸念の解消に努力しているところだ、と話している。彼女によれば、所有者がスマホを持ったまま警官が免許証をスキャンしたり、「運転免許証アプリだけを開いてスマホの他の機能をロックする」といった方法の開発を行っている、とのことだ。

後者は不可能ではないかもしれないが、実現は難しいだろう。アップルは第三者にiPhoneの機能をそこまで制御することを許可しないだろう(米国スマホ利用者の41.7%がiPhoneを使っている)。アップルはユーザーのデータを警官たちから守ることを優先次項にしてきたのだ。今さら警察によるアクセスを許可することは、どんな理由があってもあり得ないだろう。

アイオワ州が全ての解答を持ち合わせていないのは、この件に関する前例が未だ存在しないからだ。30以上の州(アイオワ州含む)が保険書類の電子証明を受け入れているが、アイオワ州の自動車利用者たちは全米で初めてデジタル運転免許証を所有する事になるのだ。ある意味、アイオワはテスト・ケースとなって、全国民に未来がどういうものになるかをかいま見せることになるかもしれない。

想像図協力:アイオワ州運輸局

Adriana Lee
[原文]