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さすがに空までは飛べないようだ。

ドイツの産業メーカーが、SF小説やハリウッド映画の世界から抜け出たような、横方向にも移動可能なエレベーターを開発している。まるで「チャーリーとチョコレート工場」の工場長が操縦する未来の移動用エレベーターだ。

ThyssenKruppの「MULTI」エレベーターは、ウィリー・ウォンカのガラスのエレベーターのように、ビルディング内を上下方向だけでなく横方向にも移動することができる。このエレベーターに唯一出来ないことと言えば、空を飛ぶことぐらいだ。

マジックや「チャーリーとチョコレート工場」の作者ロアルド・ダールの仕業でないとすると、ThyssenKruppによるこの「エレベーター産業の革命」には、いったいどんな技術が使われているのだろうか?それはもちろん、磁石だ。現在のケーブルで移動する方式のエレベーターでは、水平方向の移動は不可能だ。いくつかのタイプのモノレールでも使われている技術、磁気浮上(Magnetic levitation)がこの未来のエレベーターに上昇力と安定性を提供する。磁石がすばらしいのは、ケーブルのようにもつれないことだ。

横方向への移動だけが、今日我々が利用している水平方向にしか移動できないエレベーターと比較した際の改良点ではない。MULTIは理論上、ずっとエネルギー効率がいいはずだという。IEEE Spectrumによると:

MULTIはこれまでのケーブル式エレベーターよりずっとエネルギー効率が良いと予想される。また最高5m/sの速度で複数のキャビンをループ状に動かして運行することで、この磁気浮上式エレベーターは乗客の待ち時間を15秒から30秒までに減らし、現在よりも50パーセントほど多くの人々を運ぶことができる。

シャフト自身も、ケーブル式エレベーター用シャフトのおよそ半分のサイズとなる。これによって、その空間を何か他の目的(より多くのエレベーターを設置するなど)に利用することが可能となる。

ThyssenKruppはMULTIのプロトタイプを現在ドイツのロットヴァイルに建設中の800フィートのビルディングに構築する予定で、2016年には実際に体験できるという。金色のチケットは不要だ。

画像提供:ThyssenKrupp

Helen A.S. Popkin
[原文]