交通事故で亡くなった飼い主を待ち続ける“平成の忠犬”
2011年2月9日、福岡県粕屋町で高校生が飲酒運転の自動車にはねられて死亡するという痛ましい事故が起きた。今年8月、亡くなった山本寛大(かんた)君(当時16歳)の遺影のある仏壇の前で眠る愛犬・こゆきの姿が地元の新聞に掲載され、“飼い主を待ち続ける忠犬”として話題を呼んでいる。
『こゆきの願い』(山本美也子・こゆき/著、扶桑社/刊))は、こゆきの愛らしい写真とともに、寛大君の母親である美也子さんが、こゆきと寛大君の出会いから別れまでを、こゆきの目線で綴ったフォトブックだ。
柴犬のこゆきが山本家にやってきたのは、寛大君が小学5年生の時。寛大君は学校から帰ると毎日こゆきを連れて散歩に出かけ、親子げんかをしたり学校を休んだ時でも、こゆきだけは自室に連れて行き話し相手にしていたほどかわいがっていたという。
母親の美也子さんは、看護師をしながらボランティアなど精力的に活動し、父親の浩之さんは車椅子のランナーとしてパラリンピックや国際大会で活躍。寛大君は将来、日本の農業を変えたいと夢見て、勉強に部活にと励んでいた。
そんな穏やかな山本家の日常を、一台の飲酒運転の暴走が切り裂いた。
愛息の寛大君を亡くして、仏壇の前で泣き暮らす美也子さんに、ずっと寄り添ってくれたのがこゆきだった。山本家にこゆきがいたからこそ、助けられたことがたくさんあった――そう美也子さんは語る。こゆきは今も仏壇の前を寝床にして、寛大君の帰りを待っているかのようだという。
現在、美也子さんは「飲酒運転撲滅」をテーマに、命の大切さや加害者も被害者も作らない社会を訴え、全国で講演を行っている。
そして、仏壇の前で飼い主を待つ忠犬のことを知った有志の手により、こゆきを主役にして「STOP!! 飲酒運転」を訴える公共CMが制作された。
飲酒運転の罰則が厳しくなったこともあり、事故件数は年々減っているとはいえ、ゼロにはならないというのが現状だ。
「飲酒運転による交通事故は、ドライバーの意識が変わればゼロにできること。大切な人を失って悲しむのは人間だけではありません。こゆきのような動物も、同じように悲しいということを知ってほしい」と美也子さんは語る。
こゆきの思いを美也子さんが代弁した本書で、一人でも多くの人が“命の重さ”に想像力を働かせて意識を高めてくれたら、飲酒運転根絶へまた一歩つながるはずだ。
(新刊JP編集部)
『こゆきの願い』(山本美也子・こゆき/著、扶桑社/刊))は、こゆきの愛らしい写真とともに、寛大君の母親である美也子さんが、こゆきと寛大君の出会いから別れまでを、こゆきの目線で綴ったフォトブックだ。
母親の美也子さんは、看護師をしながらボランティアなど精力的に活動し、父親の浩之さんは車椅子のランナーとしてパラリンピックや国際大会で活躍。寛大君は将来、日本の農業を変えたいと夢見て、勉強に部活にと励んでいた。
そんな穏やかな山本家の日常を、一台の飲酒運転の暴走が切り裂いた。
愛息の寛大君を亡くして、仏壇の前で泣き暮らす美也子さんに、ずっと寄り添ってくれたのがこゆきだった。山本家にこゆきがいたからこそ、助けられたことがたくさんあった――そう美也子さんは語る。こゆきは今も仏壇の前を寝床にして、寛大君の帰りを待っているかのようだという。
現在、美也子さんは「飲酒運転撲滅」をテーマに、命の大切さや加害者も被害者も作らない社会を訴え、全国で講演を行っている。
そして、仏壇の前で飼い主を待つ忠犬のことを知った有志の手により、こゆきを主役にして「STOP!! 飲酒運転」を訴える公共CMが制作された。
飲酒運転の罰則が厳しくなったこともあり、事故件数は年々減っているとはいえ、ゼロにはならないというのが現状だ。
「飲酒運転による交通事故は、ドライバーの意識が変わればゼロにできること。大切な人を失って悲しむのは人間だけではありません。こゆきのような動物も、同じように悲しいということを知ってほしい」と美也子さんは語る。
こゆきの思いを美也子さんが代弁した本書で、一人でも多くの人が“命の重さ”に想像力を働かせて意識を高めてくれたら、飲酒運転根絶へまた一歩つながるはずだ。
(新刊JP編集部)