契約規模は5年総額1億ドル? 高まる前田の評価

 将来的なメジャー挑戦の希望を持つ広島の前田健太投手(26)が日米野球での好投などにより、今冬のMLBフリーエージェント(FA)市場の投手部門の評価で全体5位に“ジャンプアップ”している。MLB公式サイトが「フリーエージェント投手の新天地、契約内容を占う」との見出しでストーブリーグを特集。前田に関して推定年俸は総額1億ドル(116億円)で移籍先候補としてカブス、アストロズ、ブルージェイズが挙げられている。

 FA投手で1位の評価を受けているのは昨年サイ・ヤング賞に輝いたマックス・シャーザー投手(30、タイガースFA)だ。今季開幕前にタイガースから提示された6年1億4400万ドル(167億円)という好条件での延長を固辞したシャーザーは、ファストボール、スライダー、チェンジアップという強烈な決め球を高く評価されている。敏腕のスコット・ボラス代理人と契約していることもあり、特集では契約規模として「7年総額1億8500万ドル(214億円)」と予想。来季所属先の候補にはヤンキース、ドジャース、タイガースを挙げている。

 2位に入ったのは今季途中にレッドソックスからアスレチックスにトレードで移籍したジョン・レスター投手(30)。寸評では、シーズン中に獲得したアスレチックスが今季限りで契約満了となるレスターに対してクオリファイング・オファー(QO)を出す権利がないことに言及。このため、シャーザーのケースとは異なり、獲得球団がアスレチックスにドラフト指名権を譲渡する必要がないことからさらに価値が高まるとしている。

 昨季、レッドソックスのワールドシリーズ制覇に貢献した左腕はファストボールの平均時速が1マイル(約1・6キロ)ほど下がったことも指摘されているが、いまだ評価はトップクラス。昨季16勝11敗、防御率2・46と好成績を残している30歳に関して、特集では6年総額1億3000万ドル(150億円)の契約を予想し、移籍先の最有力候補としてカブス、対抗馬としてヤンキース、ドジャースを挙げている。

 3位に入っているのはロイヤルズのワールドシリーズ進出に貢献したジェームズ・シールズ投手。記事では2007年から8シーズン連続で200イニング以上投げているタフさを評価。また、ファストボールの平均球速がこの間に2マイル(約3キロ)も上がっているという。

 一方、右腕は12月で33歳を迎えることもあり、長期契約におけるリスクも指摘されている。シャーザー、レスターとともに今オフのFA市場における先発投手の目玉と評価されるシールズの契約規模は5年総額9000万ドル(約104億円)と予想され、移籍候補としてレッドソックス、ヤンキース、カブス、レンジャーズ、エンゼルスの5球団が挙がっている。

 4位にランクインしているのはアービン・サンタナ投手(31、ブレーブスFA)。総額4年5000万ドル(58億円)の契約が予想され、移籍候補としてブレーブス、ジャイアンツ、ロイヤルズが上がっている。

 そして、5位に登場しているのが前田だ。

ポスティング上限の2000万ドルには「容易に達する」

「前田はフリーエージェントではないが、広島カープがポスティングにかける可能性がある」と指摘。新ポスティングシステムの入札の上限額となる2000万ドル(約23億2000万円)に「容易に達する」と分析した上で、「彼のボールはダルビッシュ有、田中将大と完全に同等というわけではないが、前田はメジャーのローテーションの上位(1番手、2番手)を務めることが予想される」と評している。

 現地メディア上では前田に関してこれまで先発ローテーションの3、4番手という声が多かったが、この分析からもメジャー市場での評価が着実に上がっている様子がうかがえる。

 前田に関する寸評では「田中争奪戦で及ばなかった球団は前田争奪戦に乗り出すだろう。彼の平均以上に優れた制球力から、昨年の田中のように、メジャーでの適応(期間?)は必要ないのではという希望的観測もある」とも伝えている。予想される条件面はポスティング費用を除き、5年総額1億ドル(約116億円)の評価。有力移籍先にはカブス、アストロズ、ブルージェイズの3球団が挙がっている。

 続いて6位にランクインしているのはパーレーツの左腕フランシスコ・リリアーノ投手(31、パイレーツFA)。記事ではこれまで200イニングに到達したシーズンがないことを不安点としつつ、5年4800万ドル(約56億円)の契約規模を予想。ジャイアンツ、ブレーブス、カージナルスを移籍先候補としている。また、7位に入っているのはヤンキースでマリアノ・リベラの後を継いで守護神を務めたデイビッド・ロバートソン投手(29)。同投手は3年3600万ドル(41億7000万円)の契約を予想され、来季所属先の候補としてナショナルズ、タイガース、ヤンキース、ホワイトソックスが挙げられている。

 さらに8位に挙げられたのはアンドリュー・ミラー投手(29、オリオールズFA)。今季途中でレッドソックスからオリオールズにトレードで移籍し、オリオールズで23試合に登板、防御率1・53など好成績を収めたことも評価対象となっている。契約規模は3年2700万ドル(約31億3000万円)と予想され、ドジャース、タイガース、ヤンキース、オリオールズの球団名が挙げられている。

 また、9位に入っているのは今季途中でカブスからアスレチックスにトレードで移籍したジェイソン・ハメル投手(32)で3年3000万ドル(約35億円)の契約で、来季所属先候補としてツインズ、アストロズ、ブレーブスを予想。また10位には今季途中にレッドソックスからジャイアンツに移籍し、2年連続でワールドシリーズ優勝メンバーとなったジェイク・ピービー投手(33)が入っており、予想される契約規模は2年2400万ドル(28億円)で、所属先候補としてジャイアンツ、ブレーブス、ブルワーズ、アストロズが挙げられている。

 前田は日米野球初戦でメジャーの強打者相手に5回2安打無失点の好投したことが、大きなアピールとなったようだ。MLB公式サイトの分析では、例年に比べて豊作とされる今季の投手のFA市場において、並みいる実力者を差し置いて全体5位にランクイン。広島側は今オフのポスティングによるメジャー挑戦を見送る方針と見られているが、その裏で前田の評価は着実に高まっている。